阿波DANCE - 福本次郎

◆阿波踊りとヒップホップ、主人公の2人がまったく違うタイプの踊りで直接対決するという、ばかばかしくて誰も手をつけなかったようなシチュエーションにあえて挑み大いに笑いを誘うが、後半はパワーも完成度も落ち弛んでしまう。(40点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 阿波踊りとヒップホップ、主人公の2人がまったく違うタイプの踊りで直接対決するという、ばかばかしくて誰も手をつけなかったようなシチュエーションにあえて挑み、大いに笑いを誘う。二つの踊りはいつしか共鳴しあい、新たなダンスへと進化する。ローカル文化と最新流行の融合、高校生たちは最後の夏を完全燃焼しようとそこに未来への飛躍の可能性を見出そうとするが、伝統という壁に阻まれる。同時に若さあふれる溌剌とした勢いに輝いていたこの映画も、後半はパワーも完成度も落ち弛んだ内容になってしまう。

 ヒップホップの大会で優勝した女子高生・茜は母親の都合で徳島に引っ越す羽目に。転校先の高校で阿波踊りマニアのコージと出会い、反発しながらもお互いの踊りに刺激を受けていく。そして8月の阿波踊り大会を目指す。

 東京育ちの茜が徳島の文化に理解を示し溶け込もうと努力するのではなく、逆に都会への憧れを逆手にとって自分のペースに引き込もうとする。土着の踊りを強引に自分流に変えようとするその態度に当然反発がおきるが、茜は意に介さない。強がって一人で踊り、心を開こうとしない茜に「阿呆になる」ということの大切さを祖父に教わるシーンがすばらしい。意味など考えず頭を空っぽにして踊り続ければその先に何かが見えてくる、いや、何も見えなくてもええやないかという思想が茜を変えていく。

 仲間を集めて力を合わせ何かを成し遂げようという、このタイプの映画は必ず途中で主人公たちの行く手を阻む障害が待ち受けていて、それを乗り越えたところで大団円というのがセオリーなのだが、この作品の場合乗り越えるべき障害が曖昧で、トーンダウンが著しい。審査に落ちたり茜をめぐってコージが親友と喧嘩したり連が空中分解したりと、無理やり後付したような設定ばかりになってしまう。そしてクライマックスではリアリティを捨て、ハチャメチャな阿波DANCE大会。登場人物が阿呆になりきるのはいいが、脚本や演出家まで阿呆になってしまっては、観客は阿呆な雰囲気を楽しめない。

福本次郎

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