重力ピエロ - スタッフ古庄

◆ぐっと心に響く映像付き名言集(75点)

 生命遺伝学大学院生の兄:泉水(加瀬亮)

 芸術的な才能を持つ弟:春(岡田将生)

 優しい父に元モデルのキレイな母。

 一見、至極普通の幸せな家族・・・・。

 そんな家族の心の奥底に、封じ込められた悲しい過去・・・「笑っていれば大丈夫」っと努めて明るく振舞うことで負の重力に負けまいと生きてきた家族の軌跡がここにある。

 兄弟が大人になった頃、彼らが生まれ育った街に連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書き(グラフィティアート)が出現し始めた。そのグラフィティアートには謎の遺伝子コードが組み込まれており・・・"放火と遺伝子の関係が意味するものとは?"謎解きに乗り出した兄がたどり着いた驚きの答え・・・・。

 冒頭、「春が・・・二階から落ちてきた―。」というなんだか不思議な一文からスーッと物語に引き込まれる。

 登場人物にしても、その背景にしても、過去の出来事についても・・・常に観客に細やかな"?"を残しつつ展開するストーリーは先が、真相が、気になって全く退屈しない。

 本当は「退屈しない」なんて言葉は失礼なぐらい重く暗い内容で【性と暴力】【法律と宗教】【人間の人格形成は遺伝か、環境か・・】など難く考えさせられるような様々なキーワードが散りばめられており、単に「感動した!!」「泣けた!!」「面白かった!」と一くくりには表現できない作品なんですが、「楽しそうに生きていれば地球の重力なんてなくなる」「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」なんて彼らが時折話すフレーズや加瀬さん(兄)と岡田さん(弟)、そして父親役の小日向さんが放つ独特の空気感がそんなストーリーの重たさや暗さをあまり感じさせません。

 大筋のミステリー(グラフィティアートと遺伝子コードの関係などは「なんのこじつけ?」っとはっきり言ってパッとしませんが(汗;) この作品の良いところはそんなもん関係ない!!!!

 事件解明とともに明かされる真実に、家族の絆の強さを見、もやもやとした気持ちの中で、ふと温かな感動が生まれる・・・・【家族の絆】これこそがこの作品のすべて。

 ミステリー作だということでしたが、ヒューマンドラマとして観て頂きたい!!

 今作の監督、森淳一監督は、この「重力ピエロ」の映画化を熱望していたといわれるだけあって、その思い入れが伝わるような丁寧かつ細やかな演出にも注目です!

 重いからこそ軽快に?暗いからこそ明るく!? そんな不思議な伊坂幸太郎ワールド、きちんと丁寧に表現してくれていたと思います♪

 また伊坂さんの作品特有(?)の【人間の賢さは、人間のためにしか役立っていない】【人間は生きるために食べるべきで、味覚を楽しむために食べてはならない byガンジー】などの名言もしっかりと織り交られており、ためになります。。。

 伊坂幸太郎さん自身も一番思い入れがある作品だと言われているようで、私も今まで自分が読んだり(映画化されて)観たりした中では(伊坂さんの作品の中で)一番好きな作品でした。

 と、言うものの・・実は、伊坂さんの書かれる文章・・・ちょっと癖があるのか、(波長が合わないのか・・)私個人の問題なんで恐縮なんですが。。。スラスラ読むには少し抵抗があって文庫本はなかなか読み進まなかったので、一般的には原作を超える映画はないと言われておりますが(汗;) 今作に至っては映画化して頂いてよかったと思っています♪助かりました(笑;)

 本には本の良さがありどちらがいいということはありませんが、映画やドラマ、ときに漫画・・映像(絵)が付くとまた違って、本に抵抗がある人でもほぼ無条件に楽しめますし、何より映画化されるとそれだけで、より多くの人々に「こんないい作品があるんだよ♪」っと気付かせてもらえるのでありがたいですよね! どんどんいい作品、面白い作品を映画化していって欲しいです♪

 最後に・・「映画化されることで単なる普通の家族の話になってしまうのではないか・・」っという伊坂さんの心配は、心配いらない内容だったと思います♪

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