遠くの空に消えた - 福本次郎

◆ファンタジーとしては作りこみが甘く、コメディとしてはセンスが悪い。冗漫なエピソードの連続に2時間半近い長尺を最後まで見るには相当な忍耐と努力が要求される。遠くの空に消えなくても、映画館からはすぐに消えるだろう。(20点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 開発の波が押し寄せる田舎の村、推進派と反対派が分裂する大人たちを尻目に子供たちだけで生まれ育った環境、すなわち未来をを守ろうとして立ち上がるいう趣旨は理解できる。しかし、ファンタジーとしては作りこみが甘く、コメディとしてはセンスが悪く、登場人物が多岐に渡る上に人物像がまったく描かれていない。冗漫でアホくさいエピソードの連続は退屈以外のなにものでもなく、2時間半近い長尺を最後まで見るには相当な忍耐と努力が要求される。まあこの作品、遠くの空に消えなくても、映画館からはすぐに消えるだろう。

 ある地方の農村に空港建設話が持ち上がり、村人の反対運動が起きている。そこに東京から亮介という少年が転校し、ガキ大将の公平と仲良くなる。ある日、二人が遊んでいるとヒハルという不思議な少女と出会う。

 「信じることで願いはかなう」といきなりボケをかましてくれたかと思うと、UFOを信じるヒハルが本気で宇宙人と交信しようとしている。しかし、信じて願いをかなえることと、空港建設に反対することとどこでリンクしてくるのだろう。保身に走りがちな大人たちとは違い、子供たちが純粋に田園風景を守ろうとしているのはよく分かる。だが、滑走路予定地にUFOの着陸基地を作ったことで状況はどう変わるのか。そのあたり、いくらファンタジーといってもあまりにも説得力がなく、ただひらめきを映像にしているとしか思えない。もっとこの村の世界観を示すようなディテールを作りこむべきだった。

 また、サエコ先生や赤石といった登場人物は本筋とは関係なくまったく不要。弛緩した映画をさらに間延びさせているだけだ。しかも、結局空港はできてしまうのだ。つまり空港建設を本気で信じていた亮介の父の願いがかなってしまったという皮肉。この映画のキャストもスタッフも成功を信じて頑張ったことだろう。しかし、どんなに強く願っても、稚拙な脚本を間違った方向に演出しては、まともな映画に仕上がるはずはない。

福本次郎

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