オリジナル版を観ていなくても楽しめることは間違いない(点数 60点)
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ジョン・W・キャンベル・Jrの原作「影が行く」は51年に『優生よりの物体X』としてはじめて映像化され、82年にジョン・カーペンター監督によって『遊星からの物体X』としてリメイクされ、今でも多くのファンに語り継がれている。
今回、マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・jrによって3度目の映像化となったが、これはリメイクではなく、カーペンター版の前日談を描いた新たなる物語なのである。
82年3月、ノルウェーの南極観測隊が太古の氷層に閉じ込められた未知なる生命体を発見。
女性考古生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は調査するべくノルウェーの基地に向う。
しかし、解凍された氷塊から生命体が飛び出し、隊員たちを襲撃。
その生命体は、生物の体内に侵入して細胞を同化して宿主そのものに擬態する能力を持っており、さらには凄まじい勢いで繁殖する。
誰が生命体に乗っ取られているかがわからない状態の中、ケイトは対処法の発見に全力を注ぐが……。
新たなるドラマや見せ場が期待されたが、結局はカーペンター監督版同様の作りだ。
覚醒した生命体による人体の乗っ取り、モンスターを基地内にて火炎放射器で焼殺…オリジナル版にリスペクトを込めた見せ場は、結局は遠回しにリメイクしているような感じだ。
でも、これらの描写がしっかりと面白さを味わえるのことは、何よりも良いことだと言える。
最終的にはオリジナル版の冒頭で描かれるハスキー犬をヘリが上空から追跡するシーンを用意されており、オリジナル版を観た方にとっては「本作での出来事があってあのオリジナル版に繋がるのか!」ということに納得させられることだろう。
オリジナル版を観ていなくても楽しめることは間違いないが、オリジナル版を知る者にとっては、さらなる面白さを味わえることだろう。
(佐々木貴之)