逆襲!スケ番ハンターズ/地獄の決闘 - 佐々木貴之

◆亜紗美が繰り広げる格闘シーンは秀逸であり、身動きやパンチ、キックに不自然さを感じさせず、キレ味も抜群(75点)

 短編オムニバス『893239(ヤクザ23区)』内の『やくざハンター』が話題を呼び、東亜英樹名義でこれを手懸けた奥田真一と中平一史がそれぞれ単独で撮った『スケ番☆ハンターズ』二部作が誕生した。

 まずは、イタリア製西部劇=マカロニウエスタン風味に仕上がった73分という短めの『地獄の決闘』。監督は奥田真一。

 やくざハンターのアサミ(亜紗美)が三年ぶりに帰って来た。かつて修行をしてくれた猪熊(佐藤佐吉)が経営するバーに立ち寄るが、かつての面影はなかった。それは、地元の暴力団の小龍会が賭場を作るべく地域一帯に立ち退きを迫り、反対する者は冷酷なやり口で殺害していったからだ。猪熊はアサミを初代やくざハンターの美樹(吉行由美)宅に匿が、小龍会々長(掟ポルシェ)は冷酷な女殺し屋アキラ(三輪ひとみ)を呼び寄せて美樹と赤ん坊を惨殺し、猪熊のバーも焼き払った。アサミは小龍会に対する復讐を誓い、決闘に挑む。

 本作の見せ場は、数々のガンアクションと亜紗美の格闘アクションだ。特に亜紗美が繰り広げる格闘シーンは秀逸であり、身動きやパンチ、キックに不自然さを感じさせず、キレ味も抜群。また、ソードアクションも観られ、立ち回りに関しても素直に良いと認められる。

 他にもスプラッター風味の残酷バイオレンスも印象深い。残酷系特殊造型の第一人者である西村喜廣が参加しており、残酷描写に関しては西村独自のテイスト、西村ワールドといった“彼らしさ”が実感できる。冒頭のチェーンソーで女の股間を斬り込むシーン、美樹殺害シーンでの片手首チョン切りは強烈なインパクトだから忘れ難い。

 クライマックスはアサミとアキラの決戦で舞台は荒野。ここでマカロニウエスタンの世界観が再現される。福田裕彦の音楽もマカロニらしさを遺憾なく発揮する。両者のガンファイトが炸裂し、トドメとしてアサミが猪熊との打倒アキラ修業で体得した高速回転を繰り出す。これが観るからにユニークであり、笑える上にちょっとした特撮作品らしさも味わえる。銃を一発撃ってどちらかが倒れるというありきたりなシーンにせず、工夫を施して面白くて印象に残るラストシーンに仕上げたことは、ポイントが高い。

 近年、女性を主人公にした残酷描写やアクションを売りモノにした作品が多々観られるが、中でも本作は日本映画界が情熱的だった頃に東映で量産されたピンキー・バイオレンスの世界観を現代に甦らせたような作風として仕上がっており、懐古趣味的な感覚はあるものの日本映画が再び活気づいている現代には最も相応しいと思える。

佐々木貴之

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