誘拐ラプソディー - 福本次郎

誘拐ラプソディー

© 2010「誘拐ラプソディー」製作委員会

◆人生に嫌気がさした男が、父親の愛を知らずに育った少年と旅に出る。コミカルなテンポの中にも人情を交え、男が人としての責任を学び、少年に他人を信じる気持ちが芽生える過程は、信頼を取り戻していく物語に昇華される。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 思い通りにならない人生に嫌気がさした男が、父親の愛を知らずに育った少年と旅に出る。その途中、男は少年に約束を守る重要性を説き、少年は男に理想の父親像を見る。家族のあたたかさに無縁だったふたりは、やがてお互いに親子のような感情を抱き始める。ふとしたきっかけで誘拐に手を染めた男と少年の逃避行、それはストックホルム症候群以上の依存関係をふたりの間に生む。映画はコミカルなテンポの中にも人情を交え、男は人としての責任を学び、少年に他人を信じる気持ちが芽生える過程は、人間同士の配慮や信頼を取り戻していく物語に昇華される。

 自殺に失敗した伊達は家出中の小学生・伝助と出合い、誘拐を思いついて伝助の父に身代金を要求する。ところが伝助の父・篠宮はやくざの親分、身代金を手に入れた伊達は反対にやくざに追われる羽目になる。

 伝助は小学1年生とは思えないほど、見知らぬ大人である伊達に対しはっきりとものを言う。しかも伊達がタジタジになるほどの理論武装をして。父親の前では委縮していても他の組員の間でもまれたのだろう、その生意気さが多少不自然ながらも利発で愛らしい。また、チンピラに襲われた時も、袋叩きになっている伊達を果敢に救出するなど、リアリティに欠ける分ファンタジーの色合いが濃くなっていく。

 警察顔負けのやくざの組織力と行動力、技術力。ケータイのGPSだけでなく身代金に付けた発信機で伊達と伝助を追う篠宮たち。さらに手柄を立てようとする刑事もふたりを追い始める。しかし、ストーリーは伊達と伝助がいかにやくざと警察を出し抜くかというスリルよりも、ふたりの心の触れ合いに重きを置く。世をはかなんで死のうとしていた伊達が、伝助に頼られるうちにもう一度希望を見出していく変化は再生への第一歩なのだ。伝助もまた父を恐れず己の主張をはっきり伝える意思の強さを伊達から学び、伊達と一緒にいた短い時間で成長する。絶望からの復活、自分にとって大切な人が生きる勇気になる事実をこの作品は教えてくれる。

福本次郎

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