親愛なるきみへ - 福本次郎

寡黙な男の一途さが最高にクールと思える作品だった。(点数 60点)


(C)2010 DEAR JOHN, LLC. All rights reserved.

男は引きとめてくれるのを期待している、女は抱きしめられたいと願
っている。お互いの気持ちは同じなのに、小さなわだかまりと現在の
生活を捨てる勇気が持てず、あと一歩が踏み出せない。ふたりがもう
過去に戻れないことを悟るシーンの感情の揺らぎが切ないほどリアル
だ。燃え上がる恋、文通で育んだ愛。しかし、会えない時間が確実に
ふたりの隙間を広げ、いつしか冷めていく。映画は、紛争地を転々と
する兵士と女子大生の出会いと別れを通じ、封書という今や絶滅危惧
種となった通信手段に頼る男女の心の変遷を描く

【ネタバレ注意】

2週間の休暇で帰郷したジョンは女子大生のサヴァナと知り合い、たち
まちふたりは恋に落ちる。除隊後の再会を約束しジョンは部隊に復帰
するが、911テロが起き任務の延長を申し出る。

電話もメールも通じない僻地で常に危険にさらされているジョン。そ
んな状況で、サヴァナが綴った手書きの文にジョンはどれほど励まさ
れたか。便箋に文章を認めるのは、一方で自分自身を見つめ直す作業。
だからこそその言葉は脳裏にいつまでも残るのだ。

だが、突然音沙汰が途絶え、久しぶりに届いた便りはジョンにとって
は絶望に等しい知らせ。ジョンは国のために命をかけているのに、サ
ヴァナは目の前の幸せに縋る、彼女の裏切りが許せず手紙をすべて火
にくべるジョンの胸の内は痛いほどの共感を呼ぶ。彼の生き方は不器
用だが、寡黙な男の一途さが最高にクールと思える作品だった。

福本次郎

【おすすめサイト】