主人公は死人のよう(50点)
痛みだけを追い求め、ケータイと愛称でしか人とつきあわない主人公は生の落伍者。向かう先が分からない不安は人一倍で、それは闇の中を蛇行して走る列車のイメージに重なっていく。19歳のルイは、スプリットタン(蛇のように割れた舌)を持つ青年アマと出会い愛し合うが、タトゥーショップの店長でサディストのシバにも惹かれ、2人と同時に関係を持つ。大胆な性描写や暴力シーンがあるが、なぜかギラギラせず淡白だ。ルイの目的は肉体改造ではなく痛み。ピアスとタトゥーが完成した時点でルイの心は壊れている。「大丈夫」とつぶやく主人公は死人のよう。ギラつかないはずだ。
(渡まち子)