聯合艦隊司令長官 山本五十六-太平洋戦争70年目の真実- - 樺沢 紫苑

 感動する映画というよりは、深く考えさせられる映画である。(点数 80点)


(C)2011「山本五十六」製作委員会

 
新年二本目の映画、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』を見た。
 戦争映画というよりは、人物ドキュメント。
 感動する映画というよりは、深く考えさせられる映画である。

 山本五十六という一人の人間を軸に、日本がなぜ勝てない戦争に突入し、泥沼化していった状況が、2時間20分で要領よく描かれている。
 戦争を知らない世代にこそ見て欲しい映画。

 戦闘シーンなどは、必要最小限におさえられているため、
派手な戦闘シーンを期待する人には期待はずれかもしれないが、
そもそもそういう映画としては作られていない。

 この映画では、「戦う」以上に、「食べる」描写が多い。
 一匹の魚を分け合う、家族との団欒。水まんじゃうやあんみつを
食べるときの五十六のうれしそうな表情。
 この「食」の描写が山本五十六に人間来てな奥行きを与えている。

 「食」は「生きる」ことの象徴。
 「戦場」=「死」の描写との対比である。
 「生」を描いてこそ、「死」の悲しみが深く描かれる。

 この映画が、なぜ、今、作られなければいけなかったのか? 

 映画では、新聞社が軍部の圧力ではなく、
国威高揚記事を率先して書いている様が描かれる。
 その新聞社主幹を演じる香川照之の演技が、またすごい。見事な悪役ぶりだ。

 いくら先見の明のある人物が正論を述べても、
マスコミが政治のチェック機能を失い、
政治とマスコミが同じ方向を向いていはどうにもならない様子が
リアルに描かれている。

 これはそのまま、原発問題に当てはまる。
 政治が原発を推し進め、マスコミが原発推進を宣伝し、
反原発の論調をはほとんどとりあげない。

 一部の識者が原発の危険性を唱えても、
マスコミの論調の前には完全に打ち消されてしまう。

 結局、我々が歴史から教訓を得ることは無理なのか・・・。
 それとも、個人が歴史から学び、アクションを起こすことで、
歴史は少しでよい方向へと向かうのだろうか。
 
 そんなことを考えさせられる映画である。

樺沢 紫苑

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