終戦のエンペラー - 樺沢 紫苑

「天皇」とは何かを考えさせられる映画 (点数 90点)


(C)Fellers Film LLC 2012 ALLRIGHTS RESERVED

8月15日の終戦記念日。
 たまたま、その前日『終戦のエンペラー』を見ました。
 この映画を見るのに、最高のタイミンングだったと言えるでしょう。

 想像以上にスリリングで面白く、想像を超える感動。
 非常によくできた映画でした。

 太平洋戦争、そして終戦を描いた作品はたくさんありますが、
GHQの側からアメリカ人目線で描いた作品というのは非常に珍しく、
とても新鮮に見えました。

 物語は、マッカーサーの日本上陸からはじまり、
マッカーサーと天皇との会見シーンで幕を閉じる。
 
 天皇を処罰せよというワシントンからの圧力。
 天皇を処罰すると日本人の反感をかい、占領政策が頓挫することを心配し、
二つの決断の間で揺れ動くマッカーサーがおもしろい。
 天皇に戦争責任があるのか、その証拠を探すべくフェラーズ准将に
調査を依頼します。

 マッカーサーと天皇との会見。
 その会見で話された内容は、当時も今も公式には発表されていません。

 その「歴史の謎」の部分に、本作は「事実」を中心に構成しながら、
一部、フィクションと仮説を織り交ぜ、
ラストでは「そうだったのか」と観客を納得させる説得力をもって、
「どのようにして太平洋戦争は終結したのか?」を
リアルに描き出しています。

 私がこの映画を見たかったのは、
「マッカーサーと天皇との会見」の内容について、
以前から気になっていたから。

 一般的には、マッカーサーが天皇のお人柄深く感服し、
この会見がその後の占領政策を大きな影響を与えた
と言われていますが、実際はどうだったのか?。

 まさにその部分の謎に、この映画では誰が見ても
きちんとわかりやすい形で答えを出し、納得させ、
そして感動的にそれを演出して、映画は幕を閉じます。

 フェラーズ准将が、天皇の戦争責任を調べていく中で、
「天皇とは何か?」「日本人は天皇をどうとらえていたのか?」
という問題に突き当たります。

 この問題は、日本人であっても滅多に考えることはないわけですが、
アメリカ人目線で、つまりゼロベースから「天皇とは何か?」を描き出して、
わかりやすく答えを出している。
 
 それに対して、「たしかにそうだよな」「なるほど」と思わせる
説得力がありますし、同時に自分自信も「天皇とは何か?」
ということについて考えさせられるのです。

 東京大空襲で焼け野原となった町並み、GHQの建物など、
ビジュアル的にも終戦直後の日本がうまく再現されていて
引きこまれます。

 映画はただ見て終わりではなく、
そこから何か「考えさせられる」部分があって深まっていきます。

 『終戦のエンペラー』は非常に考えさられる映画として、
心に刺さりました。

樺沢 紫苑

【おすすめサイト】