第9地区 - 福本次郎

第9地区

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◆侵略者ではないが、友情をはぐくめる相手でもない醜悪なエイリアンとのトラブルに対して、人間はどこまで寛容になれるか。予想を裏切る展開の連続はオリジナリティにあふれ、まさに「アイデアの勝利」と言える出来栄えだ。(80点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 宇宙を遠く旅する科学力があるはずなのに思慮がまったくなく、凶悪ではないけれど凶暴でマナーが欠如している。侵略者のような悪意はないが、友情をはぐくめる相手でもない。故障した巨大UFOに乗った異星からの招かれざる客、われわれの美的基準からみれば醜悪な外見をした彼らを最初は人道的に援助していた地球人も、地球のルールを守ろうとしないエイリアンに差別意識を持ち排斥の動きを見せ始める。映画は価値観の違う者とのトラブルに対して、人間はどこまで寛容になれるかを問う。予想を裏切る展開の連続はオリジナリティにあふれ、まさに「アイデアの勝利」と言える出来栄えだ。

 ヨハネスブルク上空で難破したUFOから大勢のエイリアンが発見され、難民としてキャンプに収容されるが、徐々に犯罪に染まる彼らを砂漠地帯に強制移住させる計画が持ち上がる。責任者に任命されたヴィカスは、キャンプ内で謎の液体を浴び、肉体がエイリアン化していく。

 不潔で野蛮で道徳を無視するエイリアンたちの暮らしが笑わせてくれる。家畜の肉だけでなく猫缶が好物で、手に入れるために暴力沙汰も日常茶飯事、そこにナイジェリア人ギャングが深く食い込むなど、いかにも “ありそう”な設定。アパルトヘイトの歴史が記憶に新しい国で、有色人種よりもさらに下層の存在として描かれる。エイリアンたちは労働者階級で母星でも抑圧されていたのだろう、その鬱屈が地球で解放された末に悪事に走っているのではと思わせるディテールの作りこみが素晴らしい。

 エイリアンの遺伝子が発現したために身柄を拘束されたヴィカスは、液体を取り戻すために知的なエイリアン・クリストファー親子と協力する羽目になる。味方に追われ敵に匿われるという状況で、何が正しい行動かをヴィカスは自らに問うが、そこに至る過程でも逡巡する。ここで「誠実さ」といった点で、人類>エイリアンだったものが、明らかにクリストファー>ヴィカスと関係が逆転する。普通の人とエイリアンの賢者。このあたり、見かけだけで判断するヴィカスを代表とする人間の愚かさを浮き彫りにしている。ただ妻への思いを伝えたいと願うラストシーン、人の姿に戻れずエイリアンにもなれないヴィカスの切なくやるせない心情を一輪の造花で見事に物語っていた。

福本次郎

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