胸のすくような醍醐味を存分に感じさせる男のドラマ(点数 75点)
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ローズマリー・サトリクフの小説をケヴィン・マクドナルド監督が映像化した歴史ミステリー・ドラマ。
西暦120年。ローマ軍最強と称された第九軍団の兵士5000名がブリタニア侵攻の際に軍団の名誉の象徴である黄金のワシとともに忽然と姿を消す。その20年後、第九軍団指揮官アクイラの息子マーカス(チャンニング・テイタム)はブリテン島の砦に隊長として赴任するも戦闘で足を負傷したことから名誉除隊を余儀なくされる。ある日、マーカスはブリテン島北端の神殿にワシがあるという噂を聞き、奴隷戦士エスカを連れてワシを取り戻して父の汚名を晴らすべく危険な旅に出る…というお話。
歴史劇ならではの重厚な作風、壮大なスケールも大いに魅力的ではあるが、本作はマーカスとエスカが織り成す男泣き風味のロードムービーに重点が置かれている。
親子の絆、マーカスとエスカによる友情、突然の裏切り、気味の悪いビジュアルのアザラシ族との闘いという具合に道中での出来事が観る者を楽しませ、ストーリーを大いに盛り上げている。そして、マーカスの父は最期まで闘ったのか?それとも、臆病者として闘いから逃げたのか?マーカスが追求する父の最期はどうだったのか?!が観る者に興味を抱かせ、作品の世界へ引き込むのである。
クライマックスのアザラシ族との最終決戦を大いに楽しみ、その後には感動のシーンが味わえる…というように、本作は胸のすくような醍醐味を存分に感じさせる男のドラマなのである。
(佐々木貴之)