◆ギャグの切れ味は最高、映像面にも映画的な仕掛けあり(65点)
2009年の元旦は『ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~』だったが、2010年の初笑いは同じFROGMAN監督の『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~』がおすすめだ。やはりこの監督のノーテンキな作風は、お正月によく似合う。あと2週間公開を早めればなおよかったのだが。
米合衆国大統領オババが、突如核兵器の放棄を宣言した。軍需産業の大手「サドルストーン・コーポレーション」は、その決定に激しくショックを受ける。だが彼らには、鷹の爪団やレオナルド博士を巻き込んだ一発大逆転の秘策があった。
一見稚拙にみえるFLASHアニメだが、キレのいい政治ネタやパロディが息つく間もなく連発される。おまけに今回は、日本映画界のトップを走るあの特殊効果制作会社(本物)が完全協力。重要な見せ場を担当するというオマケつき。
どう考えてもおまけのクォリティの方が高そうだが──というより、絵的な落差がすさまじいことになってしまうわけだが、それ自体をギャグにしてしまうあたりがポイントだ。
映画の中でスポンサーのあからさまな宣伝行為を行うなど、おなじみのギャグも、それ自体がパロディみたいなもの。ハリウッド映画ならば、登場人物がさりげなくロゴマークの入った紙コップでコーヒーを飲んでいるが、こちらは堂々と宣言して宣伝しているだけの違いである。
映画は高い入場料を支払う以上、ヘタウマなFLASHアニメというだけではなかなか厳しいものがあると思うが、今回のコラボ企画のようなアイデアを絡めて、なんとか生き延びてほしいものである。
(前田有一)