私だけのハッピー・エンディング - 青森 学

”泣き笑い”という製作側の意図が、異なる文化圏の人間にはいまち上手く伝わってこなかった。(点数 70点)


(C)2010 Earthbound Films, LLC

セカイ系というジャンルを確立した日本のサブカルチャーにあるような主人公の個人的日常が世界の事象とリンクすることはなく、ヒロインが自らの死をどう受け入れ、また周囲の人間がこの人生において不可避なイベントとどう向き合うのか、その死への拒絶とその後の受容を淡々とコメディタッチで描かれている。セカイ系に横たわるテーマとは個人的な事情がいかに世界とリンクしているのかこの一体感が心地よいと感じる人間も多いようだが、この作品では主人公が死に往くことで接続している社会から切り離され、関係性を失い親しい人間に見守られながらも結局は孤独に死んでいくというセカイ系とは対極にあるような映画である。

「死」という、ごく私的なイベントに周囲の友人は友を失うことの悲しみを伝え、今までの感謝を述べるのだが、不仲だったヒロインの父親が懸命に彼女との溝を埋めようと想いを伝えて和解するシーンがあるのだけれど、ヒロインは父親の不器用な想いに彼の本当の愛情を知って赦すシーンがこの映画の中では一番印象に残った。

関係性を失いひとり世界から取り残される主人公であっても、その想いは周囲の人間の心に仕舞われることに自分の生きた証を見るヒロインになにか心に温かいものを感じた。

困ったのは主人公たちで交わされるジョークがよく分からなかったこと。

英語が分からないと理解出来ないようなジョークが多かったので、それだけで置いてけぼりを食らったような気分にさせられた。

この映画の難点は上述した”笑い”がうまく伝わらなかったため、パンフレットでは「泣き笑い」する映画と説明されているものが半分くらいしか意味を持たなかった点である。

ジョークがかなりドメスティックなので、英語圏の人以外には共感しにくいのかもしれない。グローバル・スタンダードを目指すには脚本もしくは翻訳に少し無理があったように思う。

青森 学

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