矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~ - 福本次郎

矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~

© 矢島美容室プロジェクト

◆「矢島美容室」というユニットに対して何の予備知識もないと、スクリーンを見ているのが苦痛になってくるはずだ。特に、石橋貴明の異様に強烈なインパクトを残すデカい顔は、不快を通り越してやけくそな気分にさせてくれる。(30点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 とんねるずのバラエティ番組を毎週見ている視聴者に向けて作られたのだろう、出演者の悪ノリとも思える過剰な演技と毒々しいまでのクローズアップの連続。この「矢島美容室」というユニットに対して何の予備知識もなく映画を見に行くと、おそらくスクリーンを見つめ続けているのが苦痛になってくるはずだ。とくにアフロヘアにアイラインと口紅をさした石橋貴明の異様なまでに強烈なインパクトを残すデカい顔は、不快を通り越してやけくそな気分にさせてくれる。作り手が楽しんでいるのはよくわかるのだが、TVの人気キャラがふざけているだけの作品だった。

 米国、ネバダ州で美容室を開く矢島家の父が突然の家出をする。母・マーガレット、芸能界デビューを目指す長女・ナオミ、ソフトボール選手の次女・ストロベリーの3人は、父を捜すために東京に行く決心をする。しかし、さまざまな問題が彼女たちの前に立ちはだかる。

 宇宙の果てから飛んできた3人の顔をした隕石が地上に落ち、そのままリズムを刻んで「Miracle」を歌いだすプロローグは、愉快なミュージカルを予感させる。きらびやかな衣装と派手なメーク、夢を持つことを称える歌詞と耳になじむメロディ、その古き良きハリウッドの伝統を引き継いだようなヴィジュアルに思わず息をのんだ。だが、映像に集中できたのはそのあたりまで。肝心の物語があまりにも見る者をバカにした代物で、ギャグのレベルも非常に低くて笑えなかった。

 別にいい歳をしたコメディアンが主婦や少女を演じていても、その世界観がきちんと描かれていればすばらしい作品になると思う。むしろ木梨憲武やDJ OZMAの仕種は女らしさを強調することで女性ぽく見えなくもない(女装のオカマといった方がわかりやすいかもしれないが)。ところが石橋貴明に11歳の少女を演じるつもりはまったくなく、その役柄への温度差を埋めようとやたら吠えまくるのが目ざわりだった。

福本次郎

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