白昼夢のような官能ファンタジー(65点)
白昼夢のようなこの官能ファンタジーは、鎌倉という土地の独特の空気が活きている。売れない小説家の真木栗は古いアパートで執筆しているが、ある日壁に穴を発見。覗き見するうちに、隣に住む若い美女のとりこになっていく。多くの映画に登場する釈迦堂切り通しが印象的だ。こっち側とあっち側の世界をつなぐ役割を果たし、摩訶不思議な物語のランドマークになっている。西島秀俊がドンピシャリのハマリ役。寝転がって壁に張り付く真木栗に「ヨガですか?」と声をかけるなど、意外にもセリフがユーモラスだ。覗きは映画の本質にも通じる行為。そう考えるとこの作品、案外深い。
(渡まち子)