◆ライトな戦争映画(50点)
ん? ん。戦争ものにしてはほのぼのとした印象を受けました。。
第二次世界大戦終戦間近の日本海軍、イ-77をはじめとする潜水艦と、アメリカ海軍駆逐艦との戦いを通して艦内の内情や友情と艦長:倉本(玉木 宏)の淡い恋を描いた作品です。
戦争を題材にしていますし、深度数百メートルの暗く閉ざされた海に潜っている潜水艦が舞台なので、息も詰まるような心苦しさ、暗さ、重たさを感じさせるものなのだろうと、ある種覚悟して観にいったのですが、大丈夫でした。。
それは、これまでの悲惨さだけを表現した戦争ものとは違い、倉本艦長率いる日本海軍とアメリカ海軍が頭脳戦を繰り広げる内に不思議と双方に芽生えた、相手に対する友情にも似た(?)敬意や「どんな人にも大切な人がいて、想ってくれている人がいる、それは敵国の人間にしても同じ。」だということをうまく絡めて「同じ人間同士、どうして戦争をするのか?」という疑問をやんわりと投げかけてくるものになっていたからです。
さらに、“お国の為に命を投げ出すことは美徳”“先に死んでいったものへ顔向けできないから、命をかけて敵を攻撃する”
という当時の風潮を「回天:人間が爆弾に乗り、操縦して相手艦船に体当たりして爆発するという人間魚雷」に乗り相手艦体に突入したがる部下の存在によって表現。「死ぬために戦っているのか? 何のために戦っているのか?」を別の方向からも問いかけてきます。
相手国に対しても本国の人間に対してさえも、人を人とは思わない、命を軽視したような行動「生きるために戦っているのだから、命を無駄にするな!」と部下を嗜める艦長の言葉にハッとさせられます。
本当の戦争がどういったものであったのか、私には想像をするしかできないのですが、様々な歴史的資料や語り継がれてきたことを聞くに、こんな(本作)生やさしいものではなかったのではないかと・・・思いますが、人間の良い部分として「人と人とは分かり合えること」「人が人を思う気持ちは誰しも同じように持っていること」をうまく表現し、「そんな人々が争いあう必要がどこにある?」ということを、やんわり伝えてくれる毒牙のない優しい反戦映画になっています。
ラストは、いくらなんでもそんなに都合よくはいかないでしょう(汗;)とイマイチ説得力にかけるというか、子供騙し的な感じではありましたが・・・いいお話・・です。。というと語弊がありそうですが(汗;)未来に少し希望が持てるようなラストで、まぁ、現実味は乏しいですけど、ストーリー的には私はよかったと思います。
ただ・・違った意味で面白いところもありまして・・・
どーも乗組員が艦長を含めて現代人すぎるんですね(笑)
微妙な髪型や服装で、昔風を装ってはいるものの・・・どうもそぐっていない。。これが最後まで地味に気になってしまいました。
特に艦長は私の勝手なイメージかもしれませんが、もっとひげもじゃで恰幅がよく、どっしりとしたおじさんではなくては・・・今回は全てが正反対の玉木艦長・・・戦艦映画としては、イマイチ迫力にかける・・・
北川景子ちゃんといい今人気の若手俳優・女優を起用する事で、観客を引っ張ってこようと言う目論みだったのかわかりませんが、俳優陣が若くて爽やかすぎるのだ!
潜水艦ものということで、もっと男臭い、熱いものを期待していくと「あれれ?」てな状態ですよ。
恋話がラストでのキーともなっているので、多少ロマンティックな雰囲気をかもし出すためには、主演はかっこかわいいに越した事はないので、しょうがないちゃぁしょうがない! かも(笑)? しれませんがー・・・っと主演の配役にはちょっと疑問(汗;)
しかし! 今作では輝く新人俳優さんが一人! 歌手(ケミストリー)の堂珍嘉邦さんです! 今回がお初とは思えぬ迫真の演技でございました!!
とは言え、玉木敵艦にももちろんみせどころはあり、頭脳戦や、艦内のいろいろな装置を駆使して、危機を乗り越えていく様は、非常にすばらしく、玉木艦長すごすぎ!!っとテンションが上がってしまわずにはいられない場面もありました(笑)
しかもこのあたり・・潜水艦なんてものに免疫のない私にも非常にわかりやすいように、倉本艦長が考えていることに対して、ご丁寧に乗組員が質問を飛ばしてくれたり、先に答えてくれたりする(笑)観客にもとても優しい映画なのだ♪
また、映像の技術が進歩したお陰で、潜水艦を外から観る分にはなかなかの迫力ありましたよ♪
今までは、外からの映像なんて痛々しいくらいにちんぷだったので、ずいぶんと素敵になった印象です。
まぁ・・そんな理由もあってか、潜水艦を外から見るほうがリアリティが湧き・・逆に艦内の様子(微妙な変装をした現代っ子俳優)で現実に引き戻されるという、なんとも切ない状態にもなってしまいましたけれど(笑)
悪い話ではありませんし、もちろん、戦争についても少なからず考えたり思ったりすることもあるかと思いますし、戦艦同士の頭脳戦もなかなかの見ごたえですので、もし、子供さんと見る機会があればお勧めかなと思います! よろしければどうぞ!
(スタッフ古庄)