夏菜は魅力的だが物語に無理がある(点数 55点)
(C)2013「監禁探偵」製作委員会
マンションの一室で繰り広げられる推理サスペンス。
物語はヒッチコックの「裏窓」風に始まる。向かいのアパートにいる女性をカメラで覗く男。
だが、女性は何者かに襲われる。男がアパートに向かうと、そこには殺された女性と、別の美女がいた。
男は美女を自室に監禁し、死体が発見されるまでに自力で犯人を見つけようとする。
監禁された美女はベッドに縛られたまま推理を働かせ、犯人捜しに協力を申し出る。
ゲームソフト「かまいたちの夜」の作者・我孫子武丸が原作、及川拓郎が監督だ。
主人公の男を三浦貴大、監禁される美女を夏菜が演じる。
ほとんどワン・シチュエーションのこの種の映画は、設定とストーリーの面白さがほぼ全てだろう。
お互いに犯人ではないかと疑い合う男女が、一方は監禁する側、他方は監禁される側で、タイムリミットがある中、協力しながら犯人を捜すという設定は、さすがにゲームの作者の原作で、実に凝っている。
序盤から中盤にかけての、男女のセリフのやり取りはなかなか面白い。
だが、元々、かなり無理のある設定なので、物語が進むにつれ、推理の方法やストーリーに納得できない点が多くなってくる。
ゲームであればそれも無視出来るのだろうが、映画というリアルなメディアでは、だんだん気持ちが離れてしまう。
途中、デ・パルマの「殺しのドレス」風の登場人物が出てくるのも、安っぽいパロディーのように思えてしまった。
大筋はいいのだが、こういう作品は細部まで、よほど脚本が練り上げられていないときつい。
ただ、夏菜のエロティックな魅力は堪能した。
様々な衣装で、長い脚を生で見せてくる。
シャワーシーンもあって、とてもきれいだった。
映画として集中して見ると粗が目立つが、DVDなどで、テレビ画面で気楽に見れば、意外に楽しめるかも知れない。
(小梶勝男)