監獄島 - 小梶勝男

◆アメプロのスーパースター、ストーン・コールドの初主演作。B級映画の美味しそうなにおいはするものの、味は今一つ(64点)

 アメリカン・プロレスのスーパースター、"ストーン・コールド"スティーブ・オースチンの初主演作は、孤島が舞台のアクション映画だ。世界中の刑務所から集めた10人の死刑囚を絶海の孤島で戦わせ、インターネット放送で中継する。死刑囚たちは足に時限爆弾を装着されている。タイムリミットは30時間。その間に他の9人を殺し、最後の1人になった者だけが、自由の身になれるという。

 どこか深作欣二の「バトル・ロワイアル」を思わせる設定は、オリジナリティーはないがB級映画の美味しそうなにおいがしてワクワクする。クンフーを使う日本人(マサ・ヤマグチ)、マッチョなメキシコ人夫婦、元英国特殊部隊(ヴィニー・ジョーンズ)など、戦いの参加者たちの面構えもとてもいい。死刑囚たちが島に到着するまでのテンポもなかなか良かった。死刑囚たちはヘリから海に投げ出されるのだが、そのうち1人は誤って陸地に投げられ、杭に串刺しになっていきなり死んでしまう。何てバカバカしい死だろうか。「デスレース2000」などのB級アクションの怪作を連想し、うれしくなってくる。

 だが、いざ戦いが始まると、手持ちキャメラの映像がグラグラと揺れてよく見えない。揺れる映像が臨場感を生む場合もあるが、本作ではただ見えないだけ。ガッカリした。

 デカイ男たちの格闘はそれなりに迫力があるのだが、それをはっきり見せてくれないのだからどうしようもない。このストーリーで113分の上映時間も長すぎる。インターネット放送をするスタッフたちの葛藤など、退屈な描写はやめて、もっとシンプルに戦いに絞れば快作になったかも知れないのに。銃殺場面なども、撃つ方と撃たれる方の顔のアップばかりで、飛び散る肉片や血が描かれないのがつまらない。「ランボー最後の戦場」くらいに徹底的にスプラッター描写をやって欲しかった。

 プレス資料などには書かれている死刑囚10人の過去も、映画ではほとんど描かれない。過去がもっと描かれていれば、死刑囚たちに感情移入も出来たのにと思う。

 見どころがないわけではない。やたらに胸の谷間が強調された女死刑囚たち、マサ・ヤマグチの身のこなし、ヴィニー・ジョーンズの悪辣ぶりなどだ。ストーン・コールドがプロレス技を使う場面もある。

 だが、スコット・ワイパー監督はせっかくの面白そうな設定を十分に生かせなかった。素材はいいのに料理に失敗したという感じだ。

小梶勝男

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