症例X - 中野 豊

エンタメ情報誌「ぴあ」廃刊の年に公開されるPFFアワード2008 審査員特別賞を受賞した自主制作映画。(点数 50点)


吉田光希監督 at ユーロスペース (c)yutaka nakano

統合失調症の上、数年前から認知症を患った母と在宅介護に明け暮れる青年の日常をみつめた、ドキュメンタリー・タッチな劇映画。

・吉田監督へ ショート・インタビュー

画(え)づくりにこだわりを感じましたが、影響を受けた映画作家はいるのですか?

吉田監督「どちらかと言うと脚本に力を入れました。影響を受けた監督?うーーーーん(考え込む)」

冷蔵庫だけを長回し(キャメラ)して、外部の音で状況説明なんて、アンゲロプロスを意識したのかなと思いまして……。

吉田監督「あっ、私アンゲロプロス大好きです。」

・・・煙草のシーンがやたらに多いので、寝タバコ火災を心配しました(笑)。

吉田監督「なんと言ったらいいんでしょうか?銘柄(ピース&セブンスター)やチェーンスモークで『そういう層』を表現しました。」

なるほど~ と感心する筆者・・・写真、撮ってもいいですか?

吉田監督「はぃっ。うれしいです」
とパチリ!お人柄がうかがえます。

・監督 自身が語る『症例X』

「・・・演技者自身の即興性、身体感覚をより大切にしたいと思い、ト書きセリフには重点を置かない、動きを限定しない脚本を執筆しました。(中略)
シーンごとにディスカッションを繰り返しながら作り上げていくことで、そこには予想もしなかった行動や、セリフが生まれ、そこでは制作者と出演者のより深い作品の共有が出来るのではないかと考えました。
決まったカットを再現しモンタージュしていく映画とは違う、目に見えない『こころ』のある映画を作りたいと思いました。」

時にテオ・アンゲロプロス、時にジム・ジャームッシュばりの映像センスに惹かれ、青田買い(微笑)。
次世代を担う映画作家になることでしょう。

同時期に、第20回PFFスカラシップの権利を獲得し、2010年に監督した『家族X』(出演:南果歩、田口トモロヲ)が、公開されます。

■2008年 日本映画/上映時間:67分/監督・脚本:吉田光希/出演:坂本匡在、宮重キヨ子、沢田幸子、野中裕樹

オフィシャルサイト:http://www.littlemore.co.jp/shoreix/

中野 豊

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