犬飼さんちの犬 - 福本次郎

人間はいくつになっても成長できるということを教えてくれる。(点数 50点)


(C)2011「犬飼さんちの犬」製作委員会

犬が大嫌いなのに犬を飼うはめになった犬飼さん。どんなクレームを
付けられてもいつも笑顔を絶やさず、丸く収めようとしていた彼が、
犬の世話を始めて少し変わる。別に人生から逃げていたわけではない、
それでもなるべく波風を立てずに生きてきた彼が、愛犬を守るために
トラブルに立ち向かわなければならなくなり、強かさを身につけてい
く。カメラはソフトな味わいのタッチで、その過程を優しく見つめる。
人懐こい大型犬の微笑んでいるような表情が可愛らしい。

離島のスーパーに単身赴任中の犬飼は東京に長期出張、久しぶりに家
に帰ると留守中の家族は犬を飼っている。犬が苦手だった犬飼は家族
に説得され、サモンと名付けられた犬の散歩と餌やりをまかされる。

離島にいたころの犬飼はネット電話の前に朝食を並べ、離れていても
家族と同じ時間に食事をする。妻子に懸命に話しかける場面が家族思
いの彼の性格をよくあらわしている。そこに突然の帰宅。彼のいない
間にいつしか妻も子供も己の知らない世界を持っている。その寂しさ
をうめようとサモンとの絆を大切にする気持ちがとてもリアルだ。

そしてサモンとの信頼関係を築くと、今度はサモンの親になった気分
になり、サモンをバカにする太の飼い主やドッグランの管理人と喧嘩
までする。それは犬飼にとって、新しい一歩であり進歩でもある。彼
の、きちんとサモンと向き合う姿は、人間はいくつになっても成長で
きるということを教えてくれる。

福本次郎

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