◆70年代に東映で量産されたピンキー・バイオレンスのテイストを現代に甦らせたような作風が魅力的(75点)
東亜英健(中平一史&奥田真一)のショートムービー『やくざハンター』を劇場用長編作としてパワーアップさせた『スケ番☆ハンターズ』二部作。今回は中平一史が手懸けた『総括殴り込み作戦』。
裏切り者ジュンコ(小嶺麗奈)に殺されたはずだった関東スケバン連合の頭アサミ(亜紗美)が戻ってきた。だが、今となっては暴力団・小龍会が町を牛耳り、連合も潰され、ドラッグをはじめとする悪が横行していた。ジュンコは小龍会の組長・村川(佐藤二朗)を利用し、かつての仲間を殺しまくっていた。アサミはジュンコに復讐するべく生き残った四人の仲間たちと“やくざハンターズ”を結成し、決戦に挑む。
今作も主演は亜紗美。共演者も『地獄の決闘』とほぼ共通している。両作ともキャストの顔ぶれに関しては、普通にTV番組や知名度が高い役者が名を連ねるヒット作品しか観ていない方にとっては非常に弱いと思えるが、今作ではあの松村雄基が友情出演という形で顔を出しているのが大きな特徴だ。
70年代に東映で量産されたピンキー・バイオレンスのテイストを現代に甦らせたような作風が魅力的な『スケ番☆ハンターズ』。今作は最もピンキー・バイオレンスに近づいており、『地獄の決闘』では観られなかったエロス描写も用意されている。だが、性行為を描いたものではなく、日活ロマンポルノのSMモノに近いシーンが観られる。
見せ場はもちろんアクションシーンであり、序盤でアサミが刀でヤクザたちを斬りつけ、さらに殴る蹴ると大暴れ!! そして、クライマックスではアサミら五人が黒いビンテージ衣装に身を包み、ボートに乗ってマシンガンをブッ放して小龍会の組員を血祭りにあげる。これは、TV刑事ドラマ『西部警察』に近いノリが感じられ、荒唐無稽さと漫画チックなケレン味たっぷりのハードなバイオレンスアクションが存分に楽しめる。銃弾は炸裂するわ血は飛び散るわと景気の良いシーンだ。
また、『地獄の決闘』同様に西村喜廣の残酷特殊造形も際立っており、エンコ詰めした痛々しすぎる手首や頭部丸ごと爆発という具合にまたもやインパクトが強烈だ。
低予算ながらも本当に面白かった頃の映画の雰囲気、情熱を込めて作られた『スケ番☆ハンターズ』。単なる懐古趣味的作品ではない!! 温故知新的娯楽アクション作品と言いたい!!
(佐々木貴之)