◆最初のアクションシーンはいい、あとはおバカ映画(20点)
上映期間3週間を目指す(……。)という、倉田保昭主演のカンフー映画。倉田保昭という俳優は、日本ではGメン75で知られ、香港その他のアジアでは和製ドラゴンとして知られるアクションスターである。最近ではスーチー主演の『クローサー』にも、クライマックスの敵役で出ていた。
ワイヤーアクションバリバリの本作は、彼の魅力をたっぷり楽しめる、超おバカ映画として考えれば、見て損の無いレベルにある。いろいろと突っ込み所が満載で、友人同士で鑑賞後に語るネタには困らない、ゆかいな映画である。キワモノ食いの人がいたら、あえて試してみてはいかがだろう。
シベリア超特急をめざすのかといいたくなるほどの爆笑シーン満載だが、倉田氏がそれを確信犯でやっているのかどうかは不明だ。彼がそういうシーンを演じると、なんだかまじめにやってそうで、それがまた笑える。人柄の温かさがにじみ出ている俳優さんで、私はもっと彼の公開作が日本でも増えればいいのにと思う。
その彼の、剣の使い方などはさすがにいいが、敵の一部に、妙に動きがとろい奴がいたりする。一呼吸いつも遅れているという感じで、こういうのを見ると、よけいに倉田保昭のすごさが際立つ。
筋肉番付でおなじみのモデル、照英も出ているが、ヒロインにタマを蹴られるだけの役でほとんどお笑い担当。いったい何度そのシーンがあったか忘れたが、いつまでもそのネタを繰り返してくれるそのギャグセンスに、私は心の底で喝采から送った。
(前田有一)