◆スタイル抜群の女の子がワイヤーワークで華麗にアクション(80点)
台湾(スー・チー)、中国(ヴィッキー・チャオ)、香港(カレン・モク)の3大スター主演のアクション映画。
『チャーリーズ・エンジェル』との差別化を計るためか、こちらはシリアス路線で行く。でもストーリーは似たようなもん。だから、見所はやはり美女のアクションという事になる。
この映画の美女たちは、モノトーンの衣装しか身に着けないので、色彩的に統一感のある画面作りに成功している。そして、その真っ白なパンツスーツが一番似合うのが、台湾の誇る人気女優スー・チーである。
スー・チーといえば、ちょいと前に、彼女がフランス映画初主演を果たした『トランスポーター』(『クローサー』と同じコーリー・ユン監督)という作品がある。
だがあの時の彼女は、お世辞にも綺麗に撮ってもらったとは言いがたい。あれではいったい何のために世界進出したのかわからないという悲惨さであったが、『クローサー』での彼女は違う。今回の彼女は本当に美しい。
冒頭のアクションシーンは、CG製のガラスの破片が画面を飛び散るなか、スー・チーがスローモーションで壁を走り、天井でなぜか開脚して、敵を撃ち殺すというものだが、これなどは最高にドラマティックな仕上がりになっており、まさに必見。
私が『クローサー』で気に入っているのは、これらのアクションシーンをまばゆいばかりに明るい日の光の下で見せてくれるところだ。だいたい最近のアクション映画は、薄暗い闇の中でやってるのが多くていけない。しょぼい動きと低予算をごまかす意味合いもあるのだろうが、『クローサー』はそんなことはしない。これは、アクションシーンに対する相当な自信の現れだ。
続編への未練をきっちり断っている雰囲気が伝わってくる所も潔い。そんな『クローサー』を、私は強くおすすめする。
(前田有一)