涼宮ハルヒの消失 - 渡まち子

◆予備知識なしで鑑賞した私はそのハイテンションな冒頭にドン引きしつつも、いつのまにか人物相関や世界観をしっかり把握した(60点)

 京都アニメーションによる、SF学園コメディ「涼宮ハルヒ」シリーズ初の劇場版。クリスマス間近の12月18日は、いつもと変わらぬ日のはずだった。高校に向かったキョンは、教室の自分の席の後ろに涼宮ハルヒがいないこと、さらに彼女の存在をクラスの誰も知らないことに驚愕する。噛み合わない会話、ハルヒの不在とかつてキョンを殺そうとした朝倉涼子の復活、SOS団の人格の変貌。キョンだけをそのままにして、世界は大きく改変されていた…。

 谷川流原作のライトノベルで、アニメ化もされている「涼宮ハルヒ」シリーズには、熱狂的なファンが多い。その大多数を占めるのはティーンエイジャーの男子だ。日常的な学園生活に怒涛のように乱入する非日常というプロットは、高校生の見果てぬ夢だが、物語としてはなるほど面白い。宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことが目的のSOS団のメンバーが主な登場人物で、団員の、ごくフツーの男子高校生キョンの視点で物語は描かれる。ある程度予習しておくと物語に入りやすいが、実際には何も知らなくてもほとんどノープロブレムだ。現にまったく予備知識なしで鑑賞した私は、そのハイテンションな冒頭にドン引きしつつも、いつのまにか人物相関や世界観をしっかり把握した。初心者にも優しい劇場版である。

 世界の改変という壮大な話だが、その謎を解く鍵は、心の中の葛藤という普遍的なもの。平凡な日常の大切さを実感するには、まだ若すぎるキョンだが、やがて自分の周囲にあった世界の愛おしさを理解する。何より、自分が生きる世界の選択権は他でもないキョンにあるとする部分が素晴らしい。なぜなら、未来への道を選べるのは青春時代を生きる若者の絶対的な特権だからだ。エキセントリックなハルヒ、物静かで悲しげな長門、萌えキャラのみくると、日本製アニメのステレオタイプの美少女が大スクリーンの中で勢揃いする様はまさに圧巻。終盤の驚きの流血騒ぎも含め、2時間30分を超える長尺が思いがけず楽しめた。

渡まち子

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