沈黙の報復 - 映画批評なら映画ジャッジ!

◆会話で笑わせる、沈黙シリーズ中でもかなりの佳作(65点)
笑いたい2009

 全主演作で、無敗の大活躍を見せるスティーヴン・セガールの強さは、もはやギャグの粋に達している。実生活で、犯罪組織とのつながりを指摘されたFBIに対して、事実無根との抗議声明をだしたときにも、むしろ誰もが「これでFBIも壊滅だな」と思ったに違いない。

 『沈黙の報復』は、そのセガール映画のあまりに非常識なムテキさ加減を、上手い具合に笑いに取り込んだ、ファンなら大ウケの一品。もちろん今回も、ストーリーやキャラクター設定そっちのけで、"スティーヴン・セガール"が大暴れするアクション映画であることは言うまでもない。

 しかも本作では、"息子を殺された父親"という、これ以上ない理由付けにより、際限ない大暴力の正当化を行っている。復讐に燃えるセガールを相手にしたら、地球上のどんな巨大組織だってかなうわけがない。最初から全員死亡が決定しているのと同じだ。

 しかもこの男、堂々と「(息子を殺した組織より)オレの方がワル」と最初から名言している。復讐を、一片たりとも倫理の枠に収めようという気がない。もはや憲法さえ超えた、まさにセガール法といえるだろう。

 「息子を殺した理由などに興味はない、組織やその目的もどうでもいい。ただ、実行犯だけは殺す」とかいいながら、えらい人数をブチ殺してるじゃねーか、と突っ込みたくなる暴れっぷりも最高だ。圧巻なのは、その格闘術をどこで習ったかと問われたときの本人の回答。これはぜひ劇場で確かめてほしい。

 セガール映画ではおなじみのドン・E・ファンルロイ監督(沈黙の脱獄(2005)、イントゥ・ザ・サン(2005) ほか)も、実にシャレがわかっている。インタビューではセガールについて、「早すぎてパンチがカメラに写らない」「相手役はバーリトゥードのプロ選手だが、それでやっとギリギリなんとかつとまる」など、ネタ化しようとしているとしか思えない、素晴らしい回答の数々である。

 ギャングがはびこる無法地帯に単身で突入し、潜入捜査官の息子の敵討ちを完遂してしまう主人公の姿は、ともかく爽快この上ない。「なんでこのオヤジこんなに強いんだよ」などと吹っ飛ばされていくザコギャングたちも笑える。セガール拳も、じっくりたくさん楽しめる。

 今年は「オヤジの映画祭」と名づけ、6週間にわたって3本のセガール映画を連続上映するソニーピクチャーズ。もちろん放題は3本とも「沈黙の?」、いわずと知れた沈黙シリーズである。これを考えた人は本当に偉大だと思う。これからも変わらず、役者以外何のつながりもない痛快アクション=沈黙シリーズを作り続けてほしいと私は願っている。

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