水曜日のエミリア - 福本次郎

女として生きるには不確実な時代の空気を濃密に封じ込め、揺れ動く思いをリアルに再現する。(点数 50点)


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キャリア、結婚、家族……。望み通りだった日常が一転して憂鬱で耐
えがたいものになっていく。物語は自分に厳しく他人にも寛容になれ
ないヒロインがたどる心の変遷を通じ、本当の幸せとは何かを問う。
オフィスと家庭、出産と子育て、選択肢が増えた分、迷いも多くなる。
映画はそんな彼女が感じている、女として生きるには不確実な時代の
空気を濃密に封じ込め、揺れ動く思いをリアルに再現する。

弁護士のエミリアは職場の上司・ジャックと不倫、妊娠して略奪婚を
するが、継子のウィルと折り合いが悪い。懸命にウィルの気持ちをつ
かもうとするエミリアだが、彼女自身悲劇を乗り越えられずにいた。

前妻のキャロリンはエミリアを激しく憎み、ウィルはエミリアの神経
を逆なですることばかり口にする。ジャックは頼りにならず、いきお
いエミリアのうっ憤は浮気を繰り返して母を泣かせていた父に向かう。
常に理性的であらねばならない職業に就いていても私生活では感情が
優先する、彼女の無防備な姿に少しほっとする。

20世紀のキャリアウーマンならば仕事か恋愛かの選択を迫られたが、
いまやその両立が当たり前。さらに養育を含めそのすべてをきちんと
こなして初めて満足を得られるのだろう。だが、懸命にそれを目指し
ても誰もが器用にこなせるわけではない、だからこそ一流の医師であ
るキャロリンを含め、彼女たちは己の喜怒哀楽に正直であろうとする
のだ。感情的なのは人間らしさの象徴なのだから。。。

福本次郎

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