ネットカフェ難民が人生を転げ堕ちる格差社会を描いたホラー!(点数 80点)
(C) 2014『東京難民』製作委員会
俺の名前は時枝修、都内の大学生だ。ある日大学へいくとIDカードがエラーになり教室に入れない。ムカついた俺は学生課に抗議へ言ったら、授業料未納で除籍だと言われた。「こんな学校こっちからやめてやらぁ!」と学校を後にした。
今度は、俺の住んでいるレンタルハウスに男がやってきて「料金未納により3日以内にここを出ていってください」ということだった。そんな簡単に追い出されりゃしないだろうと思ったら3日後部屋の鍵が変えられていた。勿論荷物も部屋の中だ。
学費もレンタルルール料金も親父が払っていたので、親父の家へ行ってみるも、家はもぬけのから……。
フィリピン女性とトンズラしたようだ。「畜生!!」
多少残った金で俺はネットカフェで過ごすようになった。
パソコンで時給のよさそうなバイトを探すのだが、いかがわしい仕事ばかり、そんな中治験のバイトはいい金になった。
少し金になった俺は新宿をぶらついていると今時の女に逆ナンされた。
たかりだとは思わずにツキが回ってきたかなと勘違い。
酔いが覚めたらホストクラブの中で泥酔状態、有り金は使い果たし、俺はそのホストクラブで働くことにした。
ある時、看護師の女性が俺を指名してくれるようになった。
彼女の給与からは考えられない金額を店と俺におとした。そして少しずつでも確実に彼女も堕ちて行く……。
同僚の金の持ち逃げ事件で俺は地方に逃げたが結局見つかり、ボロ雑巾のように痛めつけられ河川敷に放り投げだされた。
俺は終わった。
☆
物語はそこからホームレスの人々との交流となるのですが、魚のような目をした主人公の瞳が輝いてくるのが映画から読み取れます。
監督は『半落ち』、『日輪の遺産』、『ツレがうつになりまして』の名匠佐々部清で、私世代はなんと言っても吉田拓郎の曲が全編を包んだ『結婚しようよ』に驚き、ヒットも微妙な本作をよくつくってくれた!と感動ものでした。
さて、新作『東京難民』は、ちょっとしたボタンの掛け違いで誰にでも訪れる現代日本のリアルな姿は、社会派エンタテインメントとして、そして現実的ホラーとして私たちを震え上がらせること必至です。
■2013年 日本映画/上映時間:130分/監督:佐々部清/脚本:青島武/原作:福澤徹三/出演:中村蒼、大塚千弘、青柳翔、山本美月、中尾明慶、井上順
オフィシャルサイト:http://tokyo-nanmin.com/
(中野 豊)