未来を生きる君たちへ - 福本次郎

人間の良心に訴える姿勢にわずかな希望が見出せる作品だった。 (点数 70点)


(C)Zentropa Entertainments16

腹を切り裂かれた妊婦、腕を切り落とされた男、高熱にうなされる幼
児…。あまりにも多くの憎悪と悲劇を目にしたせいで、憂いを含んだ
男の瞳はどこか遠くを見ているよう。いじめに遭いながらもひたすら
耐える彼の息子は、達観したかのようにあきらめている。嘘と偽善に
満ちた世界で正義を成そうとする少年は怒りをたぎらせている。暴力
にはあくまで理性で立ち向かうべきなのか、むしろ抑止力として積極
的に行使すべきなのか。映画はあえて答えを出さない。確実なのは、
暴力の先には血が流され新たな憎しみを生みだすことだ。

【ネタバレ注意】

アフリカの難民キャンプで医師を務めるアントンは日々忙殺されてい
る。彼の長男・エリアスはデンマークの学校でいじめられていたが、
転校生のクリスチャンに助けられ、仲良くなっていく。

幼児の喧嘩を仲裁した時、アントンは子供の父親に一方的に殴られる。
その場にいたクリスチャンは、なぜやり返さないのかと問いただす。
アントンは男の元にクリスチャンとエリアスを連れて抗議に行くが、
そこでも無抵抗を貫き、子供たちに人の理を説く人間の良心
に訴える姿勢にわずかな希望が見出せる作品だった。 。銃が支配するアフ
リカの闇を体験しているアントンにとって、素手の相手など恐れるに
足りない存在、暴力に対して暴力で応じない勇気を示すのだ。

しかし、戦場では、非暴力の理想は暴力という現実の前では無力。そ
れでも、戦争や暴力の根絶は無理でも減らすのは可能と、

福本次郎

【おすすめサイト】