◆長州を知る者は、彼の好演ぶりに笑わずにはいられないだろう(75点)
喜多一郎監督がデビュー作『星砂の島、私の島 ~アイランド・ドリーミン~』(03)に続いて再び沖縄の竹富島を舞台にしたドラマを完成させた。
観光課勤務の光一(三上真史)とその弟でカメラマンを目指している瞬一(牧田哲也)は、砂浜に倒れている女・美海(飯田里穂)を助ける。里穂は、兄弟の実家である民宿でバイトをすることになる。光一は、ひょんなことから美海を“ミス人魚”として島の観光客倍増計画の広告塔に利用しようとするのだが……。
大地康雄、矢口真里ら脇を固めるキャストが個性的な本作。中でも、本作が映画デビュー作となるプロレスラー・長州力の存在感が大きい。いや、大き過ぎる!! 登場するやお笑いタレント・長州小力のものまねでお馴染みのあの独特な口調、声質でガンコなキャラクターぶりを発揮し、観る者を楽しませてくれる。おまけに彼の代名詞とも言える必殺技であるサソリ固めを光一に仕掛ける!! そして、これを止めに入った大地康雄までも突き飛ばしてしまう!! 中盤以降では、津田寛治にリキラリアットを喰らわす!! これは、長州及びプロレス格闘技ファンには嬉しいプレゼントなのである。とにかく、長州を知る者は、彼の好演ぶりに笑わずにはいられないだろう。
沖縄の美しい大自然を舞台にした地味なドラマのように思えるが、そう言って簡単に侮ってはならない。美海には隠された秘密があるという設定がストーリーにしっかりと活かされている。そして、これに相応しいファンタジックなシーンが描かれているのが本作の最大の魅力であり、観る者に強く印象付けること間違いなしだ。
また、島の観光客減少や医師不足問題を織り交えているものの難しさや堅苦しさを一切感じさせずにさらっと描いている点も好ましい。
(佐々木貴之)