携帯彼氏 - 小梶勝男

◆携帯に女子高生、恋愛、都市伝説、集団レイプ事件などを絡めたストーリーがよく出来ていて、妙な現実感もあるなかなか面白いホラー(66点)

 10代の若者たちにとって、携帯やゲーム、それを通じてのコミュニケーションには、大人の我々が感じるのとは別の、特別なリアリティーがあるのかも知れない。この作品を見て、ふとそう思った。

 ケータイ小説の映画化で、監督は劇場長編映画デビューとなる船曳真珠。これまでケータイ小説が原作の映画で出来のよいものがなかったため、期待は低かったが、妙な現実感のある、なかなか面白いホラーだった。

 「携帯彼氏」とは、携帯にダウンロードして、「たまごっち」のようにキャラを彼氏に育てていくゲームのことだ。自分の好みのイケメンを選び、メールのやり取りで徐々に親密度「ラブゲージ」を上げていく。メールに返事を出さずに放っておくとゲージは下がり、頻繁にメール交換して愛の言葉を熱烈に綴るほどゲージは上がる。現実にもありそうなゲームで、この設定がまず興味深い。主人公たちがそれにはまっていく気持ちが分かるのだ。

 ところが、ゲージが0か100になると死ぬという噂が広がり、主人公の少女(川島海荷)の周りで、噂は現実になっていく。そこには、かつて少女の恋人だった高校生の死と、集団レイプ事件が関係していた。

 主演の川島海荷をはじめ、朝倉あき、桑江咲菜ら、登場する少女たちが可愛くて、それだけを見ていても飽きない。そして、携帯電話に女子高生、恋愛、都市伝説、集団レイプ事件などを絡めたストーリーがよく出来ている。少女たちの性欲と、裏腹な現実の性への畏れは、携帯というヴァーチャル空間の「彼氏」として折り合いをつける。そのような現実と架空、欲望と畏れの境界線上には、常に怪奇が生まれるものだ。

 船曳監督の演出はテンポがよく、話をどんどん進めていく。部分的には長回しなどもあったりするが、映画の邪魔になるような自己主張はしない。恐怖場面もあっさりしている。ローティーンが見てもショックを受けないよう、余りに残虐な描写はあえて避けたのだろう。

 しかし、少女たちのファッションや、ちょっとした小物などには気を遣い、「可愛い世界」を作り上げていたと思う。一方で、スカートから伸びる脚を強調して撮るなど、少女たちの秘められた性も映像として捉えている。そうした生々しさがあるからこそ、恐怖も現実味を持つのだろう。

 だが、主人公の恋愛を描く部分がいかにも表面的だった。それでも途中までは良かったのだが、クライマックスに近づくにつれ、ラブ・ストーリーの部分が恐怖を盛り下げてしまった。恋愛映画の感動とホラーの恐怖の両立を狙って、どちらもうまくいかなかったように思う。

小梶勝男

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