やめろと言われても、一度つくった映画♪ 黒い 黒い、うまい 三池(監督)の誘惑……。 (点数 80点)
(C) 2012『愛と誠』製作委員会
アニメーションでのオープニング=1961年のスキー場でセレブな乙女 愛は「白馬の騎士」誠に救われます。
実写版。1972年 荒れた新宿の片隅で愛の前へ西城秀樹風に現れた太賀誠(妻夫木聡)は不良グループと壮絶バトルの末 少年院へ送られてしまいます。
勝手に王子様へ仕立てあげた誠を更正させようとする超天然の早乙女愛(武井咲)は、父(市村正親) 母(一青窈)に頼み 誠を絵にかいたような名門高校に編入させるのです。
金遣いの荒い誠さんの少しでも生活の足しにと、早乙女愛は校則違反のキャバレーのようなメイドみたいな喫茶店でアルバイトまでしちゃいます。勘違いもここまでいくと神業です(笑)。
とかしているうち 誠は名門高校を退学し『クローズZERO』の舞台風 不良の巣窟 青葉台高校に転入。後追いで愛も転校、そのまた後追いで「早乙女愛のためなら死ねる」とほざく岩清水弘(斎藤工)くんも……。
後編へつづく。
花園高校にいるタレントは半端なく、氷のように冷たい系の高原由紀(大野いと)、スカートながくね?のスケバン ガムコ(安藤サクラ)、若ければ安岡力也や竹内力に演じてほしかった蔵王権田(伊原剛志)らが誠を核にして大騒動を……。
そして誠の出生の秘密も明かされていくのです。
元ネタは「巨人の星」、「タイガーマスク」などの原作者 梶原一騎と絵=ながやす巧のステレオタイプの純愛漫画をグルグルぽんして、まさかのコメディ・ミュージカルに仕立てあげました。挿入歌は筆者の独カラ持ち歌でもある「空に太陽があるかぎり」「激しい恋」など。振り付け担当はパパイヤ鈴木とスタッフも想定外の意味不明。
三池監督作品としては、バイオレンス『クローズZERO』、ミュージカル・サスペンス『カタクリ家の幸福』を飛び越えたワケワカメな悶絶の逸品。
■2012年 日本映画/上映時間:134分/監督:三池崇史/出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田建、加藤清史郎、一青窈(特別出演)、余貴美子、伊原剛志、市村正親 ほか
オフィシャルサイト:http://www.aiandmakoto.jp/
(中野 豊)