◆ナンシー・マイヤーズ脚本・監督・プロデュースのコメディー。下ネタ満載で下品だが楽しい(66点)
かつてイタリアに「艶笑喜劇」というジャンルがあった。本作はアメリカ映画だがその系列だろう。一見、感動作のように見えるが、かなり下品な下ネタのコメディーだ。名優メリル・ストリープがこういう役をやるのは、ロビン・ウィリアムスが変態の悪役をやるようなものなのだろうか。
サンタ・バーバラの人気ベーカリーの経営者であり、3人の子供を育てたジェーン(メリル・ストリープ)は、10年前に別れた弁護士の夫ジェイク(アレック・ボールドウィン)と偶然再会し、肉体関係を持ってしまう。一方で、離婚経験のある建築家のアダム(スティーブ・マーティン)とも意気投合。どちらを選べばいいのか、ジェーンの心は乱れる。
タイトルから、料理が重要なテーマと思ってしまうかも知れないが、実は余り関係ない。ジェーン、ジェイク、アダム、3人とも、とにかく欲望に忠実。ジェーンとジェイクなど、セックスばかりしている。3人とも50代と思われるが、部分的には裸も見せる。この大らかさはいいが、何ともたわいない話ではある。私も中年なので余り言いたくはないが、中年(昔なら初老か)の性は余り美しいものではない(個人によるが)。正直、見ていてちょっとつらい部分もあった。
メリル・ストリープ、アレック・ボールドウィン、スティーブ・マーティンと芸達者な3人が実に楽しそうに演じているので、退屈はしないが、見終わった後に残るものは少ない。サンタ・バーバラの景色がきれいなので、まあいいか・・・・。
(小梶勝男)