忘れられてしまうせつなさに号泣っ!(点数 85点)
(C)2006平山瑞穂/新潮社 (C)2015「忘れないと誓ったぼくがいた」製作委員会
大切な人を忘れてしまう映画作品は、多いです。
妻が夫を忘れてしまう『私の頭の中の消しゴム』や、夫が妻を忘れてしまう『明日の記憶』。
愛する人たちを忘れてしまうことほど、つらいことはないと思っていました。
だけど、自分が忘れさられてしまうことがこんなにつらくて恐ろしいことだとは、考えてもみませんでした。
大学受験を控えた高校三年生のタカシ(村上虹郎)が恋したのは、会った数時間後には、人々の記憶からなぜか消えてしまう少女・あずさ(早見あかり)。
彼女を絶対忘れないと、スマホで動画を撮ったり、メモを残したりとさまざまな手段を講じるタカシでしたが……。
出会った人すべてから、忘れられてしまう。
なんて、残酷でつらいことでしょう。
なぜそうなったのかが、一切説明されていないのが、少し不満ですが運命を懸命に受け止めるあずさを応援したくなります。
彼女を演じるのは、元ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の早見あかり。
自分を覚えていてくれるのか、と不安で泣きそうなのに、ぎこちない笑顔を浮かべるあずさ。
あまりにいじらしくて、とびっきりの笑顔がみたいと誰もが思ってしまうはず。
とてもせつない純愛青春物語です。
青春ど真ん中の人にはもちろん、大切な人を失った経験のある人には、さらに心に響きます。
忘れること。
忘れられること。
でも、一緒に過ごした時間だけは、永遠に存在すると信じたいと思わせてくれる作品です。
鑑賞の際は、タオルが必携ですよ。
(小泉 浩子)