◆女性タクシー運転手のセクシー営業がコミカルだ。客が彼女の太ももに手を這わせるだけでなく、客に運転をさせて自らは口淫に励んだり、果ては背面騎上位で運転する。ヒロインのセックス大好きなキャラが男の妄想をかきたてる。(50点)
「自分の行き先が分からないから、客が行き先を決めてくれるタクシーの運転手になった」。そう語る、事故で記憶を失った女は、アイデンティティが分からないゆえに現在にも自信が持てない。迷いが仕事に反映されるのか、売上が伸びない。そんな彼女が一念発起してセクシー営業で成績を伸ばす様子がコミカルだ。助手席に座った客が彼女の太ももに手を這わせるだけでなく、客に運転をさせて自らは口淫に励んだり、果ては背面騎上位で運転する。ヒロインのセックス大好きな明るいキャラが男の妄想をかきたてる。
いつも社長に怒られてばかりの運転手・桃子は、同僚の乱子のアドバイスで車内淫行に励みすぎ、会社をクビになる。そのままタクシーで飛び出した桃子は町田という客を拾い、熱海に向かう。そこには町田の妻が彼の帰りを待っている予定だった。
町田は飲酒運転で死亡事故を起こして服役し、釈放されたばかり。罪の意識と妻への愛の板挟みになっている。過去を消したい町田と、過去を思い出したい桃子の旅。町田の身の上を聞くうちに桃子は同情し、一つのベッドに同乗してしまうのはいかにもロマンポルノらしい。町田のエピソードはまるごと「幸せの黄色いハンカチ」のパクリなのだが、元ネタにはお構いなしに何度も何度も体位を変え交合を繰り返すふたりの姿は、「何発できるか」の限界にチャレンジしているよう。早送りながらワンカットで延々と絡みを演じ続ける俳優たちの体力を試すような、ある意味過酷なシーンだった。
やがて、桃子が遭った事故の加害者が町田だったという因縁が明らかになるが、桃子の胸に芽生えるはずの「恋人を死なせた男とセックスをやりまくった」といった後悔や葛藤などはあっさりスルーする。その上で、妻の待つ家にたどり着いたタクシーの頭上からカエルが降ってきたときには、これからどんな展開が待ち受けているのかと身構えたが、「flag」を「flog」と間違えたというあまりにもあほらしいオチに思わず脱力感に襲われた。まあ、あくまでも明るく生きようとする桃子の前向きな姿勢は楽しかったが。。。
(福本次郎)