山形スクリーム - 福本次郎

人里離れた小さな村、平家落ち武者のたたり、女子高生とゾンビ。B級ホラー映画のエッセンスを集めて、脱力感満載の笑いに煮詰めていく。強烈なデジャヴを感じる小ネタの数々は、コテコテの感性で新たな命を吹き込まれている。(60点)

山形スクリーム

© 2009 映画「山形スクリーム」製作委員会

 人里離れた小さな村で対立する人々、平家落ち武者のたたり、女子高生とゾンビ。そういったB級ホラー映画のエッセンスを集めて、脱力感満載の笑いに煮詰めていく。強烈なデジャヴを感じる小ネタの数々は、出展を知らずとも、竹中直人流に色づけられたコテコテの感性で新たな命を吹き込まれ、コメディとして十分に楽しめる。あえてベタな設定とチープな物語を採用しているが、ディテールにまで及ぶこだわりは過去の名作に明確なリスペクトを示している。

 歴史研究会の女子高生4人と引率の先生が山形県の山奥にある村にやってくる。その村は、かつて平氏の武将・葛貫(つづらぬき)が愛する光笛と共に落ち武者狩りの百姓の手にかかって非業の死を遂げた伝説のあるところ。村人は祠を建てて鎮魂していたが、村長が村おこしのために祠を壊したことから、葛貫の怨霊がよみがえる。

 元々研究などあまりやる気のない女子高生を歓迎するために、村人たちがセンスの悪い田舎丸出しのギャグで迫る、そのスベった空気と間のとり方が絶妙。バスで村にやってきた彼女たちに「サプライズ」といって落ち武者に扮した村人が田舎芝居を見せるシーンなど、あまりにもくだらなさ過ぎて思わず椅子からずり落ちてしまう。他にも健康・自然派志向のヤンキーたちの奇妙な歌やダンス、生瀬勝久扮する村長、温水洋一がパッとしない俳優という自分自身演じるなど最後までテンションは落ちない。

 葛貫は村人を斬りまくる一方、女子高生の1人・美香代を光笛と思い込み彼女をさらう。残りの女子高生たちと先生は復活した葛貫の部下たちとゾンビ化した村人に追い詰められる。逃げ回るうちに仲間が襲われるが、その中で対処法を見つけ出してゆく過程はゾンビ映画のセオリーを踏襲する。しかし、ホラーよりも楽しませることを主眼に置いたこの作品、葛貫と光笛の800年越しの愛は成就され、村おこしも成功するというハッピーエンド。ゾンビが村人と共に饗宴にあずかる姿がほほえましかった。

福本次郎

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