密告・者 - 福本次郎

男たちの懊悩が、ヒリヒリする痛みとなって伝わってくる。 (点数 30点)


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「友人のように扱うが、友人ではない」。役に立つ間は援助してくれ
るが、危なくなると切り捨てる。一度魂を売って警察のイヌになった
者は、決して元には戻れない地獄への一本道を進むのみ。映画は、そ
んな密告者の人生と引き換えに組織内で昇進を果たした刑事が直面す
る呵責と、彼の手先となって犯罪組織に潜り込んだ若者の恐怖を通じ、
他人を信じられない世界の男たちの刹那的な生き方を描く。

【ネタバレ注意】

娼婦になった妹を助けるために、出所したばかりのサイグァイはドン
刑事の密告者となって、バーバイ率いる強盗団の運転手になる。そこ
でサイグァイはバーバイの女・ディーに接近し携帯データを盗み出す。

制裁を受ける密告者が、ドスで切りつけられるシーンが生々しい。刺
さないので切創は致命傷にはならないが、その苦痛の記憶にいつまで
ものたうちまわる構図。また、検問を突破したサイグァイが自慢のド
ライブテクニックを見せる場面ではBGMに「ホワイト・クリスマス」を
使い、スピーディな映像とスローテンポの音楽という見事なミスマッ
チを見せる。さらに渋滞中の高速道路でクルマを乗り捨て、反対車線
のクルマを乗っ取って警察の尾行をまく荒っぽいが高度な返し技。さ
まざまな映画的アイデアが、ドンとサイグァイの苦悩の物語にアクセ
ントを添えている。

裏切りの果ては破滅とわかっていても、そこに飛び込むしかない男た
ちの懊悩が、ヒリヒリする痛みとなって伝わってくる。

福本次郎

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