孔子の教え - 福本次郎

当時の中国の文化・文明の洗練度の高さを再現する作業は難しかったに違いない。 (点数 60点)


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学識と武術を兼ね備えた中国思想家の太祖、彼の目はすべてを見通す
一方で、あらゆるものを包み込む懐の深さも併せ持つ。物語は、そん
な主人公が政に参加し、広く自身の思想を敷衍ようになった中年以降
にスポットを当て、人と人・人と社会の関わり合いの基本となる道徳
はいかにして生まれ流布されたかを描く。経世済民とは見識の高い者
が一般庶民をより幸福へ導く道。少数のエリートが国家を統治する中
国の伝統は2500年も前に確立されていたと思うと、衆愚政治に陥って
いる今の日本の“民主主義”に疑問を持たずにはいられない。

【ネタバレ注意】

魯公に登用された孔子は、国の実権を握る3人の有力者から妨害を受けながらも奴隷殉葬を廃止するなど改革を実行していく。そして隣国・斉との同盟を結び、先代の失地を無血で取り戻す。

魯公に罷免された孔子は諸国漫遊の旅に出る。ひとり荒野をさまよう
孔子を弟子の顔回が待ち受け、後に多くの弟子が合流する。その際、
願回が馬車いっぱいの木簡を持参し、氷水に落ちた時も自らを犠牲に
して木簡を拾い集めようとする。まだ紙も印刷術もなかった時代、学
問を志す者にとって書物は命だった事を象徴するエピソードだ。

他にも、箸を使わずに食事をしたり、椅子ではなく床に直接座ったり
と、今までに語られたことのない中国の様式が珍しく、人々の暮らし
もまだ質素。現存する史料が少ない中、当時の中国の文化・文明の洗
練度の高さを再現する作業は難しかったに違いない。

福本次郎

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