徳井義実が実に好演(65点)
死がすぐそばにあるのにまったりした生の空気が流れ、その対比が魅力になっている。生きることに疲れた千鶴は山奥の民宿で自殺を図るが失敗。宿の主人の青年・多村の不思議と癒されるキャラのおかげで本来の明るさとおおらかさを取り戻していく。千鶴が自殺する動機が甘く見えるのは、田村が抱える心の傷が数倍深いから。だが、誰かと一緒に食べる美味しい食事は、そんな傷をもゆっくりと治癒してくれる。微妙な距離感の二人の関係が気になるが、映画は明白な答えは出さず余韻を残す。徳井義実が実に好演で、特にエンドロール後のワンカットの、切ない表情が絶妙だ。
(渡まち子)