天国の日々 - 中野 豊

映像のマジシャン、Mr.マリック監督の出世作を見逃すな! (点数 85点)


(C) 1978 Paramount Pictures corporation

生ける伝説の名匠、テレンス・マリック監督の新作『ツリー・オブ・ライフ』が、さきの第64回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。これが5作目という超寡作のマリックの名を世に知らしめた第2作目の『天国の日々』がリバイバル公開されます。
大きなスクリーンで美術品のごとき映像美を観ることの出来るチャンスがやってまいりました。

台詞の少ないサイレント映画のような本作は、公開当初興行的に失敗するも作品評価は高く、ニューヨーク&ロサンゼルス批評家賞やカンヌ国際映画祭で監督賞など数々の賞を手にしました。

20世紀初頭、シカゴで暮らしていたカップル、ビル&アビーとビルの妹は貧困生活に嫌気がさし、テキサス州へ旅に出ます。二人はある農場で雇われますが、農場主がアビーを見初めてしまうのです。ビルは嫉妬心をもちながらも、金の為にアビーと農場主の結婚に賛同(だまくらかして)しますが……。
そして、避け難い大事件が起きてしまうのです。

一見 俗っぽい三角関係を連想するでしょうが、移民の悲哀・夢と挫折を浮き彫りにしていきます。

太陽が地平線に沈みかけ、光が完全に消えるまでの夕暮れ時の2~30分、影がのび、西の空が黄金に輝くシャッターチャンスを‘マジックアワー’と言いますが、今では日の出も含まれるようです。

‘マジックアワー’と言えば、テレンス・マリック作品撮影のシミリーだと思われる程で、本作の映像美はミレーの絵画「落穂拾い」が引き合いに出されたりもしました。

ゴールドサンセットに輝く麦畑。麦畑の向こうに人の首が出ていて、首だけ動いているように見える愉快なショット。柔らかな日差しの農園・澄みきった河辺の美しさや、イナゴの大群・火の海になる麦畑のホラーシーンまでもが他の映像作家の追随を許さない“an act of God”なのです。と、大のご贔屓マリック監督の絶賛で締めくくらせていただきます。

未見の方は、以下の秀作4本も是非ご覧くださいませ♪

『地獄の逃避行』(1973年)
『シン・レッド・ライン』(1998年)
『ニュー・ワールド』(2005年)
『ツリー・オブ・ライフ』(2011年)

■1978年 アメリカ映画/上映時間:94分/監督・脚本:テレンス・マリック/
撮影:ネストール・アルメンドロス、ハスケル・ウェクスラー/音楽:エンニオ
・モリコーネ/出演:リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパー
ド、リンダ・マンズ

オフィシャルサイト:http://days-of-heaven.sky-way.jp/

中野 豊

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