君よ 永遠の嘘をついてくれ。いつまでも種明かしをしないでくれ・・・(点数 75点)
(C) 2011「夜明けの街で」製作委員会
永遠の嘘をついてくれ。なにもかも愛ゆえのことだったと言ってくれ—(作詞・作曲:中島みゆき/唄:吉田拓郎)。
※本作の終盤 筆者の頭の中に拓郎の歌声が被さり、深キョンの顔が中島みゆきに、岸谷五朗が吉田拓郎にモーフィングされていきました。
楽曲「永遠の嘘をついてくれ」は、男女の決別を心のひだに絡めつける名曲。
そして映画=東野圭吾原作の不倫地獄を涙で包み込んだ、昼メロ+火曜サスペンスを醸造させた極上ワインのような味わいです。
ごく普通の会社員 渡部和也(41才)は、ごく普通の奥さまは魔女?と可愛い一人娘と暮らしていました。
親友の新谷(石黒賢)は言います。「俺たちはすでに‘男’ではない」と……。
ある日、渡部(岸谷五朗)はバッティングセンターで偶然 部下でもある派遣の仲西秋葉(31才)と遇い、流れでカラオケへ。
ラッキーと思うもいっとき、泥酔した秋葉(深沢恭子)のアッシー君から ついでにスーツに嘔吐されます。
後日、社内ランづたいのPCメールで秋葉に呼び出される渡部に待っていたおたのしみとは……。
そうして二人は少しずつでも確実に不倫スパイラルにはまっていくのです。
「不倫をする奴なんて馬鹿だと思っていた」渡部は、罪悪感をもちながらも家庭では良き父・夫を演じます。
このあたり、身につまされる男性諸氏も多いと思われる展開。
私も苦しかったと振り返る女性の悲鳴も聞こえてきそうです。
中盤からサスペンス劇場の開幕となり、劇中に秋葉があの曲(フレーズ)を口にします「♪チャンチャンチャ~~ン」。
愉快で奇々怪々な流れです。
この先、物語は心の謎解きに絡むのでネタバレはなしにしますが、衝撃×涙のエンディングは「不倫という名の天国と地獄」をみせます。
骨太『沈まぬ太陽』(2009年)の若松監督がこういったラブストーリーをつくるんですね。
NHKドラマ『セカンドバージン』では、逆に不倫される妻を演じた深田さんは、完成披露試写席上「不倫はどちらからみても悲しい結末しか生みません。
結婚に夢を持ちたいので身近に起こってほしくないです。映画の中だけでお楽しみいただけたら」とコメントしました。
■2011年 日本映画/上映時間:129分/監督:若松節朗/出演:深田恭子、岸谷五朗、木村多江、石黒賢
オフィシャルサイト:http://www.yoakenomachide.jp/index.html
※参考動画 You Tube:http://www.youtube.com/watch?v=O9Bsp72aUbM
(中野 豊)