◆さすがは12000本から選ばれた脚本だ(80点)
ベン・アフレック&マット・デイモンが、『グッドウィルハンティング』の脚本を、自分たち主演で売りこみ、アメリカンドリームを実現したというのは有名な話である。そんな彼らが、自分たちに続く新人を探すための企画で集めた1万2000本の脚本の中から、グランプリに選んだ脚本を映画化した感動作が本作である。
主人公である8歳の少年の視点で、死と宗教の問題をさわやかに描いている。ユダヤ教とカトリックという、大人だったら非常にデリケートに扱う、大きな宗教の違いを、彼は子供ならではの純粋さ、大胆さで乗り越えてゆく。
主人公の少年は、白血病で余命がわずかという年下の親友のために、10個の課題を一つずつ親友にチャレンジさせる。無事全種目をクリヤーすると、親友は安心して天国に行けるという設定なのだ。
そして、9つをクリヤーした時、ついにタイムリミットが迫る。はたして最後の1つをクリヤー出来るのか? そして、親友は無事天国へ行けるのか? そして、奇跡は起こるのか?
すばらしい感動を与えてくれるドラマである。さすがは12000本中のナンバー1だ。脚本の段階で、この物語の魅力を見ぬいたベンとマットの二人の脚本を見る目はさすがである。
脚本のみならず、映画としてのできもよく、これは今週屈指のオススメである。登場人物は、宗教的、民族的背景がからみあい、年齢も様々だが、94分間の中で、主要な人物がすべてしっかりと肉付けされて描かれており、こちらをぐいぐいと引きこんでくれる。
8歳の主人公が、子供らしからぬ、立派なセリフを言う場面があったりするものの、さほど嫌味に感じず、冷める事もない。また、安直なお涙頂戴ストーリーになっていないところもいい。
邦題も原題も、タイトルはいまいちだと思うのだが、このレビューを読んだ方は、その点は気にせず、安心して劇場に出向いて欲しい。日本人にはわかりにくい、宗教についての知識も、さほど必要はない。子供が主役のさわやかな感動ドラマが見たい方には、強くすすめたい作品である。
(前田有一)