呪怨 パンデミック - 福本次郎

◆骨ばった肩をくゆらせて接近し、目でにらみ髪を絡ませ指で触れる。伽耶子を演じる藤貴子の動きがより洗練され骸骨が踊るような不気味さだ。しかし、米国で公開させるために無理やり作った英語の設定が足を引っ張っている。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 廊下の奥の闇、ロッカーの陰、布団の中、スエットシャツのフード。さらに今回は白昼堂々と公衆電話ボックスの中にまで現れる。神出鬼没の伽耶子は自分の霊が眠る廃屋に足を踏み入れたものを決して許さず、異界へと引きずり込む。このシリーズも4作目、首の骨を鳴らすように登場する伽耶子は、その恐ろしさよりも、どこからどういうタイミングで現れるかがひとつの楽しみとなっている。特に写真の現像液の中から頭半分だけ出すシーンは、あまりにも滑稽で笑ってしまった。

 姉・カレンの死の真相を探るために東京にやってきたオーブリーはイーソンというルポライターに伽耶子の存在を教えてもらう。一方、幽霊屋敷に肝試しに入った女子高生3人組が次々と伽耶子に襲われていく。

 自分の姿を見たものをとことん追い詰めていく伽耶子。その表情にはもはや生きるものへの憎しみや怨みしか感じられない。心に刷り込まれた憎悪が伽耶子の本能となり、ただ殺すことが彼女の存在理由となっている。カッと見開いた目に宿るのものは底なしの暗黒。この作品で初めて伽耶子の出自が明かされるが、それは一種の霊能者だった母親が患者から取り除いた悪霊を伽耶子に食べさせたというもの。他人の悪霊を心に溜め込み体の隅々までいきわたらせた伽耶子は、夫に殺された後、その肉体を失って悪意だけの存在となるのだ。それでも、母に愛されないオーブリーを存命中の自分の母親の元に導いたのは、伽耶子にもまだ自分を理解してもらいたいという人間的な感情が残っているということなのだろう。

 伽耶子を演じる藤貴子の動きがより洗練され、まるで骸骨が踊るような不気味さだ。骨ばった肩をくゆらせて接近し、目でにらみ髪を絡ませ指で触れる。襲われた者は恐怖で凍りつき、声も出せない。物語性よりも皮膚感覚で味わう恐怖描写、特に伽耶子を見せるためだけに作られたようなこの映画なのに、米国で公開させるために無理やり作った英語の設定が足を引っ張っている。

福本次郎

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