南の島のフリムン - 福本次郎

オチが読めるベタなボケだけでなく、意外なオチの新鮮なネタまで惜しげもなく詰め込まれたサービス精神と、沖縄人独特のおおらかな感性をデフォルメした上に、彼らの神秘的な底力まで見せようとするパワーは最後まで衰えない。(70点)

南の島のフリムン

© 2009 吉本興業株式会社

 絶妙のボケに思わずツッコミを入れてしまい、スクリーンと相対してゴリをはじめとするひと癖もふた癖もある強烈な個性の登場人物と漫才をしているような楽しい気分にさせてくれる。オチが読めるベタなボケだけでなく、意外なオチの新鮮なネタまで惜しげもなく詰め込まれたサービス精神はまさに芸人魂。沖縄人独特の物事や時間に対するおおらかな感性をデフォルメした上に、沖縄の持つ神秘的な底力まで見せようとするゴリのパワーは最後まで衰えず、一時も画面から目が離せない。

 養豚場で働く栄昇はマサル、ヒトシとつるんでアホなことにうつつを抜かす日々。ある日、クラブダンサーのオレンジに一目惚れした栄昇は彼女に告白しようとするが、米兵のマックスに邪魔をされる。2人はオレンジをめぐって一ヶ月後に決闘の約束をする。

 ブレーキの効きが悪い軽トラが人にぶつかり、怪しげなサーターアンダーギー占い師が運命を予言し、マサルがウイスキーの瓶を手刀で切り落とそうとして骨折し、マサルの娘・りみにギジムナーの扮装をさせる。特にいじめられっ子だったヒトシが栄昇と知り合ったエピソードには腹を抱えて笑う。栄昇は鍛え上げた肉体を持つボクサーのマックスに対抗するために金城という空手の達人のもとに弟子入りするが、平良とみ扮するこの師匠のとぼけた味わいがさらなる脱力感を誘う。

 やがて決戦の日、栄昇はマックス相手に作戦通りの試合運びで善戦するが、味方に足を引っ張られたり、いちいちラウンドガールをいじったりと、ここでも何が起きるか予測不能だ。金城が唯一教えた技もマックスを倒すまでには至らず栄昇は危機一髪。もちろんハッピーエンドが用意してあるが、そこに至るまでいちいち小ネタの寄り道をして見る者の心に休む間を与えない。また、栄昇とりみの間の素直になれない恋愛感情も巧みに織り込むなど、物語の構成も非常に手練ている。ハンディカメラの使い方を洗練させ、下ネタに頼らなければ、もっと上質のコメディとして昇華されたはずだ。

福本次郎

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