◆作品に対する敬意が込められている(70点)
未だにビデオテープしか置いていないレンタルビデオ店で、フレッチャー店長(ダニー・グローヴァー)から店番を任されたマイク(モス・デフ)。彼の幼馴染で風変わりな男ジェリー(ジャック・ブラック)が発電所でいたずらをやらかし、自身が電磁波を浴びてしまう。これが原因で店のテープの映像が抹消されるハメとなる。マイクとジェリーは、消えてしまった映像を勝手に自主製作する。
ミシェル・ゴンドリー監督が、映画に対する愛を込めて遊び心を活かせて作り上げたのが本作だ。
見所は、やはりマイクとジェリーが作ったパロディー風リメイク映画だ。ネタになっている作品はハリウッドの大作映画ばかりであり、『ゴーストバスターズ』(84)をはじめ『ラッシュアワー2』(01)、『ロボコップ』(85)、『2001年宇宙の旅』(68)、『ライオン・キング』(94)等である。パロディー作品によくありがちなおバカな感覚はあまり感じられず、これらの作品に対する敬意が込められていることが感じられた。製作過程の描写は本当に面白く、ハチャメチャ感が笑わせてくれる。また、いかにも安っぽい作品を撮っているがそこから本当の手作りの良さが伝わってくる。これらの自主製作作品が客に大ウケして店が儲かってくる。本当に信じられないような不思議感覚が観る者をさらに楽しませてくれる。
映画に対する愛が最高潮を達するラストでは感動を与えてくれる。ノスタルジックな雰囲気が感動を彩っているとも言え、これがまた味わい深くて重厚な出来栄えとなっている。ラストの前に現在のハリウッド製大作映画に対する批判が描かれていることも重要なポイントなのである。
単にコメディーとしての面白さや笑いを追求しているだけではないことが良質な仕上がりとなっている。
(佐々木貴之)