悲しみに胸がつまった(55点)
あまりにも“そのまんま”なタイトルに、お涙頂戴との悪口も言いにくくなるが、この難病もののラブ・ストーリーは実話に基づいたもの。24歳で末期の乳がんにかかった長島千恵さんと恋人の赤須太郎さん、二人をささえた家族や友人の愛を描く。何しろ恋人の太郎ちゃんの“いい人”度はハンバではない。真面目に交際し、病気にひるまず、献身的に介護し、仕事もちゃんとやる。千恵さんを失って彼女の遺言テープを見る彼の悲しみに胸がつまった。20代女性の乳がんについてはネットや書籍でも圧倒的に情報が少ないらしく、映画が乳がん治療や検診への道を開けば千恵さんの思いも報われよう。主演の榮倉奈々はまるまると健康的でとても末期ガン患者には見えないのが玉にキズ。この物語を撮ったのが廣木隆一というのはちょっと意外である。
(渡まち子)