祝イーストウッド、俳優復帰! 『グラントリノ』よりさらに偏屈老人に涙!(点数 90点)
(C)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
ガス・ロベル(クリント・イーストウッド)は、データ全盛時代に
コンピュータを使わず、自分の感覚で仕事をするメジャーリーグのスカウトマン。
そんな彼を球団はお払い箱にしようとしていました。
視力が衰えても、スカウトマンとしての自信は失っておらず、キャリア最後のスカウトの旅に出ますが……。
「もう俳優はやらない」と公言していたクリント・イーストウッドが、スクリーンに帰ってきました。
これがまた、『グラン・トリノ』以上に偏屈なじいさまです。
口は悪いし、ぶっきらぼうだし、むすっとしてるし。
だけど、自分の人生を貫いてきた力強さに、ついつい魅力を感じてしまいます。
妻を早くに亡くし、娘が6歳のとき、親戚に預け、13歳で寄宿舎に入れ、そのままほったらかし。
父に嫌われていると信じている娘・ミッキー(エイミー・アダムス)は、弁護士事務所のパートナー昇進を目前にしている大事な時期にもかかわらず、父を心配し、スカウトの旅に同行します。
キャリアをダメにする可能性があるのに、父が見捨てられない。そんなミッキーの姿にまず、ウルウルです。
これだけ長い間一緒にいるのは、ミッキーが子供の頃以来でしょう。どこかぎこちなく、口論ばかりするふたりが微笑ましいです。
少しずつ、近づいていき、ミッキーが、父に心を開いていくさまが、すばらしいです。
私生活をなげうって仕事に邁進してきた彼女が、ふと立ち止まり、人生を考えていく。さりげに恋までしちゃいます。がむしゃらに進んでいくのもいいけれど、立ち止まってみるのも大切ですよね。
ラストは、爽快! の一言。
この親子のその後を見てみたいと思ってしまいました。
仕事や人生にちょっと疑問を感じている方、特に、おススメです。
(小泉 浩子)