人生、ここにあり! - 福本次郎

精神疾患を持つ人々に労働の場を提供しようと奮闘する主人公と、彼によって魂を解放された患者たちの姿を通し、人は生きるために何が必要かを問うていく。(点数 60点)


(C)2008 RIZZOLI FILM

床板を張るのに、規格通りの長方形の板が足りない。そんな時思いつ
いたのは廃材を使った寄木細工。色も形も様々な木片を巧みに組み合
わせて並べ美しい星形を作っていく。それは、この作品の登場人物た
ちと同様、社会の規格から排除された者たちでも、知恵を寄せ力を合
わせればきちんと機能する事実の象徴。しかも、彼らの独創的なアイ
デアとセンスは“正常”な頭では発想できないほど洗練されている。
物語は精神疾患を持つ人々に労働の場を提供しようと奮闘する主人公
と、彼によって魂を解放された患者たちの姿を通し、人は生きるため
に何が必要かを問うていく。

組合活動家のネッロは精神病患者の組合を任され、彼らに働いてカネ
を稼ぐ体験をさせようとする。展示会で材料が不足した時、芸術的才
能のあるジージョの機転で寄木張りに変更、クライアントは絶賛する。

その後も患者たちに仕事を割り振って、寄木床を事業として運営しよ
うとするネッロ。患者たちは元々心を病んでいるものの知能が劣って
いるわけではなく、適性に合った役割を与えられこなしていく。

その様子を美談仕立てにせず、男性患者たちの性欲処理のために娼婦
に払うカネをECの補助金で賄おうとするなど、“男”として避けて通
れない部分までコミカルに味付けして描き込む。そこにあるのは社会
的弱者に対する監督の優しい眼差し。彼らも人間であることを徹底的
に肯定するスタンスが好ましい。

福本次郎

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