◆アクション色を前面に押し出した作風(70点)
『レッドクリフ』二部作の勢いに便乗したかのような作品で、監督はダニエル・リー。
原作は「三国志演義」に基づいたもの。主人公は『レッドクリフ』ではフー・ジュンが演じた趙雲であり、アンディ・ラウが扮している。また、映画版ならではのオリジナルキャラクターとしてサモ・ハン扮する平安、マギーQ扮する曹嬰が登場する。この二人が作品を更に面白く昇華させ、二大スターの活躍ぶりと美味しい役柄は注目度が高いと言える。
本作は、単なる『レッドクリフ』の二番煎じ的な駄作ではない。アクション色を前面に押し出した作風で、随所には見せ場となる合戦シーンが散りばめられている。アクションの出来栄えは水準が高く、非常に面白く仕上がっている。歯切れの良いカッティング、スローモーションの多用、流血シーンが奏でだすバイオレンス、アクロバティックなバトルという具合に魅せ方が巧妙で、迫力をしっかりと追求できている。アクションシーンがここまで面白く仕上がったのは、サモ・ハンによる演出があったからこそだと言っても良いほどだ。
他にも大人数のエキストラ、立派な衣装やセットが作品のスケールを大幅にアップさせており、これだけでも十分な見応えがある。
中盤あたりから突然二十年後のことが描かれたりというようにストーリーに緻密さが欠けたりするが、もともとはアクションを売り物にしているような作品なので細かいことを考えずに観れば面白さはしっかりと味わえるはずだ。
(佐々木貴之)