ワイルド・スピード MAX - 小梶勝男

◆シリーズ第4弾だが1作目の正統な続編。娯楽に撤した派手なカー・アクションの連続は楽しいが、ドキドキするには至らない(66点)

 「ワイルド・スピード」シリーズの第4弾だが、これが正統な続編で、2作目、3作目はスピン・オフと言えるかも知れない。1作目と同じヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターの4人のキャストが再び揃い、物語も1作目と直接に繋がっている。

 恋人を麻薬組織に殺されたお尋ね者の輸送車強盗(V・ディーゼル)と、FBIの潜入捜査官(P・ウォーカー)が、一方は復讐、一方はボス逮捕を目的に、組織に潜入する。2人は時に対立しながらも、犯罪者とFBIという立場を超え、共通の敵を倒すために協力していく。

 「捜査官が麻薬の運び屋となって組織に潜入する」というストーリーの大枠は、「ゴー・ファースト 潜入捜査官」と同じだが、2作品の印象はまるで違う。「ゴー・ファースト」が事実に基づいて潜入捜査の様子をリアルに描いたのに対し、こちらはリアリティーを完全に無視。なにせ、麻薬の運び屋を選ぶのに、組織による公道でのレースが開催される。当然、無関係の車が何台もクラッシュ。何人か死んでいるかも知れない。用心深いはずの組織が何故わざわざそんなに目立つことをするのか、などと言っても、本作には無意味だ。派手なカー・アクションを見せるためにストーリーはある。決してその逆ではない。

 だが、それはそれで、見ていて楽しい。冒頭から、奇想天外なタンクローリー襲撃。高速走行する車のボンネットからタンクローリーへ飛び移ったり、爆発炎上して転がるタンクローリーの下を車がすり抜けたり。ボディラインを強調した美女もわんさか出てくるし、公道レースの場面はかなりの迫力。クライマックスの坑道トンネル内でのカー・チェイスもスピード感があった。見せ場の連続で穴がない。車好きには、巨大なダッジ・チャージャーやスカイラインGT-Rの雄姿をたっぷりと見られるのも嬉しいだろう。娯楽に撤しているのは大変に潔い。

 しかし、個人的にはこの手の作品はやや飽きた感もある。美女にカー・アクションは楽しいし、よく出来ているとは思うが、やはりそれだけではドキドキするには至らない。

 1作目からの印象だが、P・ウォーカー演じる警察官に今ひとつ魅力が欠けている気がする。腕力勝負のV・ディーゼルは筋肉が盛り上がった太い腕だけでキャラクターが出来上がっているのだが、「潜入」の専門家であるウォーカーは、本来はディーゼルとの比較で頭脳プレーを見せなければならないはずだ。それがまるでない。ただウソをついている「ズルイ奴」にしか見えない。悪役にも、悪役なりの魅力というか、もう一工夫欲しかった。敵が輝いていないと、主人公たちも輝かない。それらを求めるのは、贅沢なことなのだろうか。

小梶勝男

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